少女機械人形コーパス 第一幕
左文字
『ジョエル! 離れろっ!』
ジョエル
「その……つもりですっ!」
ジョエルは何度も訓練でそうしてきたように、デーケルターレを操り後退しようとする。
ジョエル
「くっ。足が……!」
シュミレーションルームと地上との大きな差は、その足場だった。
シュミレーションルームの堅い鋼鉄とは違い、地上の大地は腐敗し、ぬかるんでいた。
その差異も含めて訓練をしてはいたのだが、やはり現実として感じる初めての違和感に若いジョエルは戸惑った。
池峰
『………』
ジョエル
「く…っ…。こんな……こんな事で……!」
ジョエルは大きく大地を蹴り上げ、白い球体と距離を取る。
『楔の悪魔』ははるか後方にそびえ立ち、デーケルターレは2対のヴィロネカートに挟まれる形となった。
作品名:少女機械人形コーパス 第一幕 作家名:有馬音文