Last War ~神に見捨てられた世界~ 第一話
少年は慌てて小屋に向かう。すると隣に一人の男がやってきた。
男はおっとりとした顔をしている。その男は少年に聞いた。
「災難だったね。何があってこの有様に?」
少年は答えようとした。だが答えれない。
思い出そうとしても思い出せない。この時初めて記憶がないことに気がついた。
自分の名前は覚えている。だが何をやっていたかは覚えていない。
少年は唇を少し絞めた。すると男が
「いや、無理に言わなくてもいいよ。このご時世だもん、きっと酷いことがあったんでしょ?」
少年はどう答えることもできない。この時は「はい」としか言えないと思った。
「あ、は…はい。」
「君、名前は?」
「要です。篠原 要。」
「要君か。いい名前だね。」
男は優しい笑顔で接する。
要は徐々に平常心を取り戻していく。
「僕はマノール。マノール=アルベルト。」
「どこの国から?」
「リビアからだよ。まあ今になってはどこ行っても同じ風景だけどね。」
「どういうこと?」
要は疑問に思った。同時にマノールも疑問を持った。
「君も見ただろ?生態系の終末。」
「う〜ん…」
「あぁ、1回死んじゃったからよく覚えてないよね。」
「そうなんだ…記憶がないんだ。」
「高台からだと見えるかもね。」
要はマノールに勧められ高台に上る。
見た景色は絶景とは言いがたいものだった。
「何…これ…!?」
要は信じられなかった。信じたくなかった。
「世界は神によって殺されたんだ…」
辺りの建物は全て灰と化し、人の死骸が道にごろついている。
世界は死んだ。
マノールは要を小屋の一室に案内しソファの上で休ませた。
「要君…信じられないと思うけどこれが現実なんだ。」
要はうつむきながら
「嘘だっ…!嘘だぁっ…!!」
『今』を否定し続けた。
作品名:Last War ~神に見捨てられた世界~ 第一話 作家名:プリースト