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【過去作】私の青空2 プーチンクエスト【2000年(16歳)】

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第二話「篭城 Sieged」


9月5日午前0時54分。
プーチン射殺命令から21分後。


・・・玉筋魚村。地図には決して載る事の無い小さな村だ。
過疎化の余りにも進んだこの村に、一人の招かれざる訪問客があった。
「あ、あのお嬢さん・・・」「きゃあ!何?変態!変態よ!」
「変態じゃなくって」「じゃあラッキー池田ね!?輪を掛けた変態!」
「・・・すみません、あの、お水、もらえますか・・・」「ぎゃあああ!警察!警察!」
若い女は脱兎の如く駆け出していた。小さな村の小さな入り口での小さな出来事。
いずれそれだけで終われば良かった、と誰しもが思うようになるだろう。
今まさに事件の種火が虚像の納屋に放たれた所だった。


「・・・へんしつしゃぁ?」
この婦警(厳密に言えば民間警察)の名前は、遠山西陣織。主食は主にセロリ。
西陣織は手にしていた延命茶(群馬県特産。一杯で寿命が半年延びる)を渋々置くと、
退屈そうに若い女に向き直った。「おいぃ、関屋!金になる話持って来いっつうの。 警察ってのはボランティアじゃなくてビジネスだってあれほど言ったろ」
「すいません、西陣織先輩。じゃあ何処に行けばいいんですか」
「テリーとうえちゃんが居るだろう!」「忘れてました!」
「・・・まあまあ。西陣織さんも葵ちゃんも落ち着いて。はい、葵ちゃん延命茶。」
「五十六さん、有難う御座います」「それにしても今更こんな廃村に人が来るなんてなぁ」
「先輩、言い過ぎです!」そう言いかけた瞬間、派出所のボロ扉が突然開いた。
「あのー・・・水を一杯くれませ」「出たあああぁぁぁぁ!」「これか?これだな!変質者は! 関屋、そこをどけ!この西陣織様の必殺顔面ボディーブローが飛ぶぞ!それ・・・」「ああああ!」
「っと、何だ五十六コラァ!死にてぇのか!」「に、西陣織さん、それプ、プ、プ、プーチンですよ! ニュース見て無いんすか?今2人殺して逃亡中なんですよ!」「ああ!?下手人か!!」
「ま、待て!ワシは殺して無い!殺して無いんじゃ!」「罪人なら突きだしゃ金になるなぁ」
西陣織が拳をぱきぱき鳴らす。五十六が一喝する。「そいつロシアの大統領なんですよ!」
ピクッ。西陣織の眉毛が微動した。「西陣織さん、早くぶちのめして下さい!それ!ほれ!」