天上万華鏡 ~現世編~
仁木の言葉に春江は目を見開きながら喜んだ。成仏する方法は嘘だと思っていただけに、それが現実にあるのだと素直に思えたからである。対して仁木は、楽観的な表情をしていない。
「本当ですか? その方法を教えてください」
「はい。そのつもりですが、かなりの覚悟が必要ですよ。大丈夫ですか?」
春江は表情を引き締めつつゆっくり言った。
「勿論です」
春江に示される成仏の道。それは険しく遠いものだと知るよしもない。しかし、スタートラインにはついた。覚悟も決めた。後は歩み出すだけだった。
作品名:天上万華鏡 ~現世編~ 作家名:仁科 カンヂ