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イケナイ恋愛 夜のパーキングで

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唇を離すと、二人の目が合った。彼女の瞳には、今まで見たことのないほどの強い光が宿っている。
雪絵の視線は隆志の下腹部へと下がっていく。彼女の細い指がかちかちと、彼のベルトを外し始めた。
「何をするつもり?」
隆志が訊くと雪絵は、
「決まっているでしょう」
隆志の口から、女のような声が上がる。雪絵は隆志の顔を見上げた。そうして、にっこりと微笑んだ。可愛らしい無垢な少女の顔と、男を知った大人の女の顔が同時に見えた気がした。ふいに、彼女の姿に江尻が重なる。
がりッ、と音が鳴った。
ナッツを歯で砕くような音。激痛が下腹部から脳天に走り抜ける。隆志は悲鳴を上げていた。車の外にまで聞こえるほど、大きな悲鳴。
雪絵の唇から、どろりと唾液が垂れる。赤い唾液であった。隆志は自分の下腹部が血にまみれた、おぞましい情景を目にする。雪絵との初めての夜の、白いシーツを染めた血の赤を思い出した。彼は歯がかちかちと鳴るのを、止められない。
「江尻那津子って人も、これを舐めたんでしょう?」
雪絵は静かに、じっと隆志の目を見つめた。なんで、江尻のことを知っている?
隆志の胸に、不安が満たされていく。
「彼女から私に、電話があったのよ」
そう言って、彼女は再び隆志の、血の滴る急所に手をそえた。