恐怖の女
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メグミと別れて2週間――
俺の心の傷も少しずつ癒え始めていた、そんな時―――
「げぇ!!」
「どした?」
いつもながらにのんびりした親友の声。
俺が指さした方向には……
「ん? もしかしてアレが噂の?」
「肉じゃがだよ……」
「へぇ、結構カワイイじゃん」
「はぁ!?」
腹の底から驚いた声が出た。
「あ? 俺、あの手の子タイプなんだよ」
「でもお前……俺の話聞いて……笑って……」
「女の子に組みふされたお前を想像したら笑えたんだよ」
「…………」
「声、かけてみようかなぁ。相手にしてもらえるかなぁ」
乙女のように恥じらいながら肉じゃが女を見つめる親友。
「かけてこいよ。お前くらいのイケメンなら、向こうだって悪い気はしないはずだ……」
「……よし!」
ひとつ気合いを入れて、肉じゃが女の元へと駆けていく親友の後ろ姿を見ながら、俺は大きく息を吐いた。
……はぁ、世の中ってよく分かんねぇなぁ。
了