アリス
私は思い当たるところを見渡したけれど、声の主はみあたらなかった
いよいよ、私は勉強のしすぎで頭がおかしくなってしまったのかしら・・・
隣で家庭教師が何か喋っているけれど、私の耳には一言も届いていなかった・・・
だって、私の頭の中には『あの声』が響いていて私を呼ぶんだもの・・・
まるで、その声の主に私の体全てを支配されたかのように・・・。
その時、ふと中庭に目を向けると、真っ白でふわふわのウサギの両耳だけが見えた・・・
「ウサギ・・・さん」
おもわず声が出ると、ウサギの耳はピクピクと動いて中庭を抜けるように走りだしてしまった
「ま、待って!!ウサギさん!!!」