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【黒歴史】 全速力で走る霊 【2002年(18歳)】

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18. 全速力で走る霊

俺は走った。
全速力で。
この世界を、この世界の全ての矛盾をぶっ壊してやりたいと
思った。
具体的に、何か方法を考えていた訳じゃない。
ただ、余りにも無力な自分に、走る事でしか
埋め合わせが出来なかっただけだ。
街から街へ。
車道から車道へ。
あの星の下からこの星の下へ。
絶望から絶望へ。
現世の輪廻転生もこんなもんなのか?
転がる石のように、走り廻った。
はあはあ。
脳に酸素が足りなくなってきた。
筋肉に乳酸が溜まり始めた。
それでも走った。
踵が擦り切れ、血豆が出来た。
身体中が、蒸気になったみたいに熱い。
それでも走った。
全速力で走った。

警察のパトカーのサイレンが鳴り響いている。
A,M4:00の街並。
だれかを探しているのか?
そうか。沢村を刺した犯人はまだ捕まってないのか。

俺の走りに、取り合えずの目的が出来た。
俺は、目を周りに向けたまま、全速力で、
汚い、醜い、この世界を走り続けた。

この時だけは俺は神を信じた。
やがてほとんど当ても無く探していた
一人の、男に、俺はぶつかった。
それが誰だか、俺はすぐに解った。