laughingstock9-3
「いいや。遠距離からのサポート向きだ。戦闘向けというほどでもない。お前もそうだろう?」
「僕は戦闘自体向いてないんだ。どちらかというと影でサポートする感じ」
「・・・」
呆れたように嘆息すると、リーフも珍しく頬を赤く染めていた。やはり弱いことは恥ずかしかったのだろう。
しかし向き不向きは仕方ないだろうと割り切り、ルイスはその場所に向かう。
「今の扉は無限回廊となっている。我が逃げ出したときもそうなっていて同じように破壊した」
「よく分かったんだな」
「・・・勘で」
驚くリーフに今度は沈鬱な表情でルイスが答える。いい加減身体の性癖のことで悩んでいるのに、あまりこのように実用的な場面でもそれを言いたくなかった。
(野生の勘のような・・・ものだものな)
「・・・・ふぅん」
意味深な生返事にルイスが早足でその場を離れる。後ろからリーフが面白がった表情で追いかけてくるのを感じながら。
焼き尽くした壁の先には沢山のpielloの姿があった。此処から出ようともがいた者もいたのかもしれない。倒れているものもいる。
膝を抱えたまま動かない者、誰もに生気は無く静寂に包まれていた。ここが見知った城ではないのではないかと思う。自分達はこんな場所を知らずに生活をしていたというのか。
「此処は・・・」
ルイスが痛ましそうに彼らを見ていた。そして一歩中へ入って見回す。
「我らの頃はガラクタ置き場と言われていた。ここでpielloは生まれ壊される。人間だった我も此処に最初に連れてこられた」
リーフにはまったく見覚えは無かった。リーフたちは此処で作られたわけではないのか。此処で創り直されるのは人間ではない存在。死屍累々という言葉が当てはまるような状況にふと記憶にあるような気がした。
piello収集家の館が同じ状況になっていなかったか。
「見たことがあるだろう。ウサギと引き離されたpielloの殆どはこうなる。依存性の高いpielloやウサギの洗脳が上手く働いた結果だ。そこで死んでいるpielloは此処にいるpielloが行ったのだろ う。意志の強いもの、ウサギに反感を持つ者はこうはならない。
piello収集家もあの場に同じものを作っていたな」
「君は力を貸した・・・?」
「あんな下賤な願いは聞く気は無い。ベナの願いのみを叶えた。あの磁場を作り出したのは囚われたpiello達だ。あの状況になると壊れていく一方だった」
ルイスは助ける気は最初から毛頭無かったのだろう。彼らを助けることはあの時余計なことでしかなかった。今も彼らを助けることはできないだろう。
ルイスもリーフもそんな親切心を持ち合わせていないのと助け出したとしてウサギのいない彼らはまたロイの手で連れ戻されるだけだった。
彼らの中を分けて通っていくことにしたが、その中に見知った顔がある。
「どうした?リーフ」
彼の声に、今行くと答えようとして足が止まった。
a.「ルイスの方に向かう」
b.「様子を見に行く」
作品名:laughingstock9-3 作家名:三月いち