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せき あゆみ
せき あゆみ
novelistID. 105
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ぼくがであった鬼

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と、一人が言ったので、ぼくはそばにあった小型の宇宙船に乗り込んだ。
 本物のロキは、お兄ちゃんたちといっしょにいて、心配そうな顔で見ている。なにかいいたそうに口をもごもごさせて。
「ちょろい、ちょろい」
 ぼくはウインクをして、コントローラーのスイッチを入れた。
 ところがさっきの宇宙船と勝手が違うんだ。
「おい、ロキ! それは旧式の」
 気がついた教官が叫んだけどもう遅い。ぎゅーんと小型機は空へ舞い上がって、きりきりと回転しながら、めちゃくちゃに飛び回った。
「うわあぁぁぁ!」
 地面が目の前に迫った。ぶつかる!

 まぶしくて目が覚めた。車の震動で頭のてっぺんがちょっと痛む。
「ヒロキ。だいじょうぶか?」
 運転席からおにいちゃんが声をかけてきた。
「あれ? ここは地球? ロキは?」
「夢でも見たんじゃないのか?」
 お兄ちゃんは笑いながら言った。でも、夢なんかじゃない。だって、ぼくの服、ロキと交換したままなんだもん。

 また今度、ぼくは鬼火山に行こうと思う。きっとロキに会えるから。
作品名:ぼくがであった鬼 作家名:せき あゆみ