laughingstock1-3
「ああ。今度からは情報を渡す時は今回みたいな面倒な事はしないから。そのまま此処へ来て口頭で伝える。
言っただろう?最初が肝心だと」
そういって彼らは空間へと消えていった。
本当に嵐のような者達だと思う。しかしpielloとは本当に不思議な存在だとシェロは思う。
しかし彼らがいなくなった今、罪深き自分は自分の信じる道を貫き通すことだと思っている。それがこの聖なる場にいる理由に自分になっていくように。
外界から帰り、廊下を歩きながらウサギに話しかける。
「愉しかった。シェロは可愛いね。お前と何処か似てる気がする。
本当はどうしようか悩んでいたんだけど、彼の人となりと知能が惜しくなった」
ウサギは答えない。ただ自分のすぐ後ろを離れずに歩いている。
傍から見れば可笑しな独り言にも聴こえる事を続ける。
「僕は気に入った物は壊さないよ。ん?気に入らなくてもどうにかしろって?
それは無理だよ。僕だから。
本当は僕は一番この仕事に向いてないと思うんだけどね。そう思うだろう?名も無きウサギ」
ウサギはやはり微動たりしない。それに肩を竦める。
「お前の性癖には困ったものだ。名前?ちゃんと付けているじゃないか。
どうして皆分からないのだろうね。お前の名を僕は呼んでいるだろう?
名も無きウサギ」
ウサギはそれに応える事なく懐から一枚の紙を出し、リーフに手渡す。
それを見てリーフは嫌そうな顔一つ。
「・・・また仕事?眠れるかと思ってたのに。お前、今回置いていったから拗ねてるだろう」
そんな彼らの声が暗い館に響き、彼らの世界が彼らの帰りを待つように闇に口を拡げていた。
一章 ー完ー
作品名:laughingstock1-3 作家名:三月いち