形のない形
「いいよ。隆弥さん忙しいのに……。―――それに、俺はずっとこうなんだから、食べにくいとかどうとかは言えない」
そう言うと、隆弥さんは少し寂しそうな顔をして「そうか……」と言った。
「でも、無理するな。俺には頼ってくれよ」
「もう、十分頼ってるよ……。これ以上、頼れない」
ふと隆弥さんの携帯電話が鳴る。病院内での携帯電話の使用は禁止なので、院内用の携帯電話だ。
さっきまでの、優しそうな隆弥さんから、仕事中の顔に切り替わる。なんかカッコいい。
「急患が入ったから、またな」
「うん」
少し早足で隆弥さんは病室を出ていった。