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オレたちのバレンタインデー

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 金は勿論Zの出資だ。IはZを扱うすべをうまく心得ていて、Zは実質彼の言いなりである。
「今までに校内で二人、校外で二十人が検挙されました。ブラックリストを作ってありますから、一人ひとり呼び出して、制裁を加えましょう」
 そして、これもいつものこと。僕の意向は一切無視し、I一人で「打ち合わせ」を進めていく。
「――ところで」
 Iの口調が、がらりと変わった。眼鏡の奥の光が強くなる。
「一学年の問題児をご存知ですか」
 心臓が大きく脈打った。
 問題児って……。なぜIがあいつの話を?
「知っていますね、しかもかなり親しいと見える」
 タラコ唇がへにゃっと歪む。Iは頬杖をついて、じっと僕の顔を見つめた。
「ねえ、あなたと彼が級友で、しかも同じ中学出身であることは、分かっているんですよ」
 血液が全身を異常な速さで循環している。
「彼が、ある教師に先頃、副会長の名前、俺の名前を密告した。なぜでしょうか、俺とあなたの名前は生徒に割れていないはずなのに」
 バカッ、あいつ……!
 静かで着実なIのプレッシャー。全身の血管が破裂しそうだ。頭がガンガン唸り、血の気がざざあっと引いていく。
「もしかして、あなたが彼に教えたんですかね。そうだとしたらそれは本部への背信行為。今すぐ会長に制裁を加えてもらわねばなりませんよ――O君?」