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黒春 和
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世界はひとつの音を奪った
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彼女に手を差し伸べたことに、さして深い意味はなかった。
僕がそうして救われ、この街に居ついたように、彼女を助ければいいと思った。
自惚れるなと、あとで僕を助けてくれた奴に、散々殴られ、怒鳴られた。
僕には、人の救い方が分からなかった。
この世の誰が、それを知っているのか。
誰も知らないから、僕は世界を放棄したわけだけど。
だけど。
彼は何か知っているような気がした。
なぜか。
作品名:
世界はひとつの音を奪った
作家名:
黒春 和