小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

世界はひとつの音を奪った

INDEX|13ページ/32ページ|

次のページ前のページ
 

サトルという少女



 「はぁぁぁぁぁぁぁぁ…」

 僕はバーカウンターでだらしのなく情けない声を出して突っ伏していた。
 目の前のビールに映る自分の、そりゃもう情けない姿ときたら。
 しかし自己嫌悪は消えることもなく、時折涙が出そうになった。
 「…そりゃぁ、…ご苦労さん。」
 僕の隣には、キャミソールにミニスカート、ショートボブヘアーにいくつもビーズをつけた女の子が座っている。
 彼女が飲んでいるのはカクテルに見えて実はトマトジュースだ。
 「僕…ほんと、もぅ…自覚してるけど、なんでこぅ…」
 「で。その家出少年は?」
 「…うぅ。とりあえずちゃんと駅に送りましたよぅ…?あー、もぅ嫌。」
 「なにがー?」
 「…最低な事言った。」
 「そう?大人としてはまともなことじゃない?」
 「僕が言えた台詞じゃぁないもん…。何が偉そうに、帰りなさい。だよもぅっっ!」
 わぁぁ…っと泣き突っ伏す。
 丸い僕の背中を、彼女はポンポンと叩き慰めてくれる。
 「いやいや、それでもよく言ったよ。ノイズ君はがんばった!」
 「サトルくぅぅぅんっっ!!」
 僕は彼女の、幼い顔にはもったいない豊かな胸に泣きすがった。

 なんという役得。