若返りの泉 TWENTY
19 トイレにまつわる3題
大学ではバスケット部に所属していた。
学校には宿泊施設があり、コンパや合宿練習の時に利用していた。コンパは平日が多く、翌日には授業があった。遅くまで起きているので、たいていは寝不足のためボーッとした頭で一日を過ごした。
ある、コンパがあった翌朝、いつものようにトイレで用を足していた。
ふと視線を感じて顔をあげ振り向くと・・びっくり。個室のドアが開いていて、目と目が合ってしまった。
口をあんぐり開けて手でおおっている。
かけたつもりの鍵がきっちりとはまっていなかったのだ。穴があったら入りたい・・・穴はあるけれど・・・お互い知らない者どうしだったことが救いか。
山ではトイレに苦労する。一般ルートでないところを登るので、たいていは草ムラに入って済ませるが、岩壁の途中にいるときはホントに困る。女性どうしならまだしも、男性と組んでいる時には気を使う。
「あっちむいててや」
と、信用するしかない。
ザイルでからだを固定してお尻を突き出して、空中に固形物を落としたこともあった。無論誰も通らない方向にではあるが。出したものを確認できないのは、味気なくどこかさびしいものだ。
現在は携帯トイレが普及してきているので、そういうことはなくなったのだろうか・・・?
今飼っているゴールデンレトリバーは、何でも口に入れる。
ある日、落ちている軍手をくわえて離さないので、家までくわえさせたまま帰った。しばらくそれで遊んでいたようである。小さく裂かれた軍手を掃除して捨てた。
翌日、ないはずの軍手がそのままの形をもって落ちていた。
黄色まみれになって???
キャンプに行った夜、バーベキューをした後のゴミをポリ袋に入れて置いていた。すると、野犬に食い荒らされたかのように袋は裂かれ、中身が散乱していた。
翌日の散歩のとき、しゃがんだまま長いこと立ちあがれないでいる。
辛抱強く待った。
ようやく出し切ったそれは、よじれねじれた長〜いラップが混じっていた。
作品名:若返りの泉 TWENTY 作家名:健忘真実