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律姫 -ritsuki-
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君ト描ク青空ナ未来 --完結--

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第二部・20話〜


20

「あれ、目覚めたの?」
向こう側から簡単に扉が開かれた。
そこに立ってたのは、全く見知らぬ人。
20代前半で派手な私服姿。長めの髪は茶色。きっと大学生。
「誰ですか?」
自分のなかで何かが警鐘を鳴らしているのがわかる。
きっと、良くないことが起こっている。
「とりあえず俺の名前は敦也(アツヤ)」
軽い口調でそう応じてくるけど、この人の名前を知ったところでどうしようもない。
「知りたいことはそんなことじゃないです。わかってるでしょう?」
強い口調でそう言うと、相手は一瞬たじろいだ。
「大人しそうな顔して結構いいたいこというんだね。ちょっとびっくり」
茶化してくる相手にいらだって、口調は余計に強くなる。
「誠司さんと俊弥さんはどこにいるんですか?」
「俺は知らない」
「じゃあ、僕はペンションに帰ります。道を教えてください」
相手の顔をまっすぐに見ると、どこかで見たことあるような既視感を覚える。
「なに、俺の顔何かついてる?」
「いえ・・・なんか前にも見たことあるような気がして」
「こんなところでナンパ?いい度胸だねえ」
なんだか、よくわからないけど豪快に笑われた。
「こんなところで話もなんだから、こっち来なよ」
ベッドルームのドアの向こうへ、招き入れられる。
ソファセットとテーブルセットのあるリビングルーム。
部屋の感じを見る限りはたぶんホテルの一室だと思う。部屋はそんなに広くないけれど2部屋あるってことは結構良い部屋なのかもしれない。
「好きなところに座って」
そういわれて、テーブルセットへと座る。
「エライエライ。こういう状況では下手に逃げようとしないのが一番の得策だよね」
言いながら冷蔵庫を開けて、飲みものを取り出した。
コップへ注いで、僕の前と自分が座る席に置く。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
のどは渇いてるけど、絶対に手はつけない。
「別に何も入ってないよ。俺だっておんなじもん飲んでんだし、今から話そうって時に眠らせてもしょうがないでしょ?」
自分のグラスから一口飲んでみせた。
この人のいうことももっともだと思ったし、のどの渇きには勝てなかったから、口をつける。
「うんうん、素直なのは良いことだね」
なんか癪に障る物言いをする人だ。

「それで、えっと、何を話そうとしたんだっけ?なんか聞きたいことある?」
この人は、どこまでふざけてるんだろう。
「なんで今、僕がここでこうしているのかを順を追って説明してもらえるとありがたいですけど」
「うん、そりゃそうだ。でもそれを説明するのはちょっと俺の独断だとできなかったり・・・」
「独断?」
そう言うと、その人は気まずそうな顔をした。
「あ、口が滑った」
そう言って、頭をかく。
「そういえば、内田さんって人はどこにいるんですか?」
俊弥さんに会わせるといって、ここまで僕を連れてきてくれた人。
「内田サン?ああ、あの人は今ちょっと出てる」
「ってことは、仲間なんですね」
そう言うと、またその人が頭をかいた。
「また口が滑った」
ミスをすると、頭をかく癖があるらしい。
いったいどういうことになってるのか、全く状況がつかめない。
わかるのは、今が決して好ましい状況ではないという感覚だけ。
「俺らが仲間だってばれちゃったし、内田サンはあと少しで来ると思うよ」
そういった瞬間に、机の上の携帯が鳴った。
「噂の内田サンからかな」
無駄のない動きで通話ボタンを押して、耳に携帯電話をあてる。

「もしもし?・・・・はい、それは残念でしたね。とりあえずこっちは何事も。俺が若干口を滑らせた以外は・・・・はい、待ってまーす」
電話を切って、机の上へと戻した。
「もうここに着くって。どうしてこうなったのかの説明は内田サンと、あと一人役者がそろってからかな」

部屋の呼び鈴のような音がしたのは、それからすぐ。
ドアの向こうには二人いた。
一人は内田さん、もう一人は知らない人。