君ト描ク青空ナ未来 --完結--
3
何も変わらない毎日を送り続けて、3ヶ月が経った。
正確には3ヶ月くらい。
ここに来たのは4月の初め。
今はもうすごく暑いから7月になったんだろう。
殺される日までもう半分が過ぎた。
そんな日、夜の食事を下げに来たあの人が倉庫を出たとき、いつもする音がしなかった。
鍵を閉める音が。
完全にあの人が去ったくらいの時間をおいて、扉を開けてみる。
ドアは開いた。
外はもう暗くて、星はひとつもなくて、月も見えない。
何も考えずに倉庫から出た。
あたりは暗くて、誰も居ない。
門を開けて、外へ。
外へ出た瞬間、体に震えが走った。
背中にじっとりと汗をかいているのがわかる。
殺されるとこだった…。
そのことが急に怖くなる。
死んでもいい、むしろはやく殺してくれとさえ思ったのに。
とりあえず、逃げないと…。
殺されるから、はやく…。
お金はない。
交通手段はなにも使えない。
自分の足しかない。
ぽつぽつと雨が降り出した。
暗い道を、行く当てもないままに走り出す。
3ヶ月全く運動をしていなかった体は弱ってて、すぐに走れなくなった。
それでも歩いて、
歩けなくなって、
道に倒れ込んだ。
雨がザーザーと土砂降りになる。
倒れても進まないと、殺されるから…。
雨でぐしゃぐしゃになったコンクリートの上を這ってでも、前に進まないといけなかった。
強い雨が背中を叩いて、だんだんと意識は遠のいていった。
こんな所で力尽きたら、連れ戻されるに決まってるのに。
わかってるけれど、体はもう、動かなかった。
意識を失う直前、背中を叩く雨が止んだ。
周りはまだザーザー降りなのに、おかしいな。
もう感覚すらなくなったのかもしれない。
このまま死ぬなら怖くない。
殺されるのは嫌だけど、このまま死ぬのなら大丈夫。
こんな世界にいるよりももっと幸せな場所に行けるような、そんな気がした。
作品名:君ト描ク青空ナ未来 --完結-- 作家名:律姫 -ritsuki-