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律姫 -ritsuki-
律姫 -ritsuki-
novelistID. 8669
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君ト描ク青空ナ未来 --完結--

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問題数はそんなに多くないからか、理解しながら写すだけならば2時間少しで終った。
丁寧に解答がかかれていて、字も綺麗なのだけれど、自分の頭のほうが足りず、解答の過程がわからなかったところには印をつけておいて、後で圭介にきくことにする。
空流が作業している間、圭介はもう一つ座卓を出してきて月曜日の英語の予習をしていた。
「圭介、とりあえず写し終わった」
「どっかわからないところとかあった?」
「うーん、ちょっと教えてもらっても良いかな?」
「いいよー」
わからなかったところをいくつか教えてもらって、なんとか解答方法を理解するところまでは終った。
そこで時計をみるともう13時前。
「昼ごはん食べに行こうか。うちで出してあげらんなくてごめん。僕、料理とか全然できなくて」
「ううん、こっちこそ気をつかわせちゃって」
結局近くのファミレスに行くことになった。
それぞれの注文を済ませて、料理が来るのを待つ。
「公立の高校だと、ここまできっと進みは早くないんだろうね。うちは中高一貫だから、内部進学組は中学のころから高校の範囲やってるみたいなんだよ」
だから最初のうちは自分もついていくのが大変だったと語る。
空流は、清藍へ編入する前には公立の高校に通っていたということにしてあった。編入前はどうしていたのかと聞かれたときに本当の事情を話すのは、まだ重すぎると思ったから。
「あ、そうそう。ついてくのが大変といえばさあ、なんかうちの高校って社長の息子とか医者の息子とか多いんだよね。経済価値観あわなくって、最初のうちはそっちも大変だったなあ。真志と仲良くなってからは感じなくなったけどね。ほら、真志はスポーツ特待生だから」
「え、そうなの?」
言われてみれば、清藍みたいなお金持ち校に真志がいるのは不自然だ。たしか真志の家もそんなに裕福ではなかったと思う。それに、この間空流のすんでいたアパートのところであったということは、真志もまだあの近所のアパート住まいなはず。
「そう。だから、まあ特待生同士、足りないところは補い合っていこうって感じで真志とは仲良くなったんだよ」
あれ、いま特待生同士って言った・・・?
「圭介も特待生・・・?」
「あれ、言ってなかったっけ。自分から言うことでもないんだけど、僕も一応特待なんだ。勉強のほうの」
それを聞いて納得。頭いいはずだ・・・。それに清藍生にしてはやけに庶民感覚なのも頷けた。
「真志がさ、喜んでたよ」
「え?」
「真志もみんなの経済感覚についていけなくって、悩んでたみたいでさ。空流が編入してきてから、やっと話が合う奴ができたって喜んでた」
「え、でももともと圭介と真志は仲良かったんじゃないの?」
「うーん、仲はいいけど話がわかるっていうのは違うんじゃないかな、やっぱり中学校が同じだったり、境遇がにてたりするのは特別だよ。僕の家は両親共働きで妹は学費払って私立行ってるって真志に話したら、『なんだ圭介んちもプチ金持ちか』って言われたし」
「そうだね、僕とか真志の感覚からすると私立の高校に学費払っていくなんていうのはすごい贅沢かも。僕は高校受けるときに滑り止め受験すらしてないし」
「うわぁ、それ勇気あるね」
「それしか仕方なかったんだよ。お金なくて」
「そっか。じゃあ、うちの学校では空流も特待なの?」
「まさか、そんな頭ないよ」
と首を振ってから、自分の発言が矛盾だらけだったことに気がついた。
私立にいくのは贅沢っていってるくせに、自分はいま私立に通ってる。
ちゃんと事情を説明すべきなんだろうとは思うけれど・・・自分の生い立ちはともかく、誠司との関係を話すのはまだためらわれた。
「あのね、僕が清藍にいるのは、ちょっと事情があって・・・。今度話す、ごめん」
「こっちこそ、なんか悪いこときいちゃったみたいでごめん。空流が話してもいいって思ったときに話してもらえれば嬉しいよ」
「うん、ありがと」
圭介は、大人だなと思った。自分が逆の立場だったときに同じことを言えるだろうかと考えるが自信がない。
「あ、料理きたね。おなか空いたー」
テーブルの上に料理が並べられて、腹ごしらえをしながら話たのは他愛もない学校の先生の噂話など。

ファミレスを出て、団地に入っていくときにバスから丁度降りてきた真志を見つけた。
午後はまた3人で勉強会。
真志が圭介の手を借りながら宿題を写す横で、空流は午前中に写したノートの解き方暗記に勤しんだ。

とりあえず、週明けの宿題テストはなんとかなりそうだった。