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律姫 -ritsuki-
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君ト描ク青空ナ未来 --完結--

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真志と圭介に助けられてばかりの一週間が過ぎた。

月曜日に始業式で火曜日から早速授業がはじまったわけだが・・・八木先生の言ったことはあながち間違ってなかったと実感する毎日。
ついてけないかも・・・というのが正直な感想だった。もちろんこれから頑張るつもりだけれど。
圭介がいなかったら、本当にどうしようもなかった。

ここでは、毎日の予習が当たり前。
英語の読解の授業は事前に長文を訳しておかないといけないし、文法の授業は予習してきた問題の答えあわせがメイン、国語の古文の訳もあてられる。数学の予習もしろって言われてるけど、数学は授業中に当てられないから手を回しきれない。

英語の長文も文法も古文も、授業がある日は圭介が朝、空流のノートをみてくれた。間違ってるところとかわからなかったところは教えてくれる。
次の日に小テストがあるときなどは、放課後まで空流につきあって勉強を教えてくれた。

ちなみに、真志は部活で予習をする暇もないのか、直前の休み時間に一生懸命圭介の予習ノートを写してた。

そんな毎日が続いてたとき、さらに頭の痛いことを言ってくれたのは数学の八木先生。金曜日の6時間目、もっとも嬉しいはずの週の最後の授業でとんでもないことを言ってくれた。
「週明けに夏休みの宿題テストを行う。自分でしっかりと宿題をやったものは勉強の必要はない。基準点に達しなかったものは宿題を再提出してもらう。例外はない。以上。今日の授業は終わりだ」
言い終わると同時に、チャイムが鳴った。

やばい、やばい、という声が教室のところどころで上がっている。
真志も周りの友だちとやばいやばいと騒いでた。
しかし、ちらりと隣をみると、圭介は涼しい顔。
「圭介、余裕そうだね」
「うん、数学は宿題終ったのけっこうギリギリだったから、覚えてると思うし」
にこにこしながら、そんなことを言う。
空流は、やばいとかそういうレベルではなかった。
「あー!」
圭介が空流の顔をみながら、声をあげた。
「え、どうしたの?」
「空流って宿題やってないんじゃん!?」
「う、うん・・」
「大変だよ!あの先生の問題、意地悪いんだよね。例外はないっていってたし、普段の予習と夏休みの宿題の提出なんかやらされたら死んじゃうよ」
「・・・だよね」
「宿題コピーしようか?・・・っていっても、今もってないなあ・・。真志もってないかなあ」
そう言いながら、真志を呼んだ。
空流よりもあわてている。その姿をみながら、ここまで一生懸命になってくれる友だちにくすぐったいような嬉しさを感じた。
「ねえ、真志―。いま夏休みの宿題の数学のプリントもってなーい?」
「うーん、探してみるからちょっと待って」
机のなかをごそごそしにいった。真志の机は廊下側の前から4番目。
空流と守屋は窓際の一番後ろだからちょっと遠い。
「あ、あったぞー」
真志の手にはくしゃくしゃになった数学の宿題プリントがかかげられていた。
その宿題のプリントはB5で1枚。
「あれ、これだけ?」
それが正直な感想だった。圭介の言い方からするともっとありそうだったのに。
「こんだけ、って随分余裕発言だなぁ。空流は。みろよ、これ」
真志からプリントを渡されてよくよく見てみると・・・意味不明。
「・・・なにこれ」
くらくらした。
「安心しろ、空流。クラスの半分はお前と同じ感想を抱いている。あんの数学ヲタクのヤギさんめ・・・」
「言いすぎ。でも確かに全部難しいんだよね。空流、どう?」
どうってきかれても意味不明なものは意味不明だ。
「・・・ぜんっぜんわからない」
「俺も俺も」
「真志には聞いてないよ。空流、週末ひまだったらうちに来る?宿題やったノートが返ってきてるから僕はその解き方を暗記してしのごうと思うんだけど、よかったら一緒にやらない?」
圭介は自分で解けたのなら、解き方を暗記する必要もないだろうに、気を遣ってくれている。
「やるやるー」
と先に真志に答えられた。
「だから真志には聞いてないって。まあ来てもいいけど。空流はどうする?」
「うん、僕もお願い。でも圭介の家ってどこなの?」
「ここからバスで20分くらいだよ。どの駅からも遠くて不便なところで悪いんだけど、学校からは近いから、学校で待ち合わせしよう」

明日の10時に学校の前で待ち合わせることになった。
真志は部活があるから、昼過ぎから合流。
こういうことはよくあるらしくて、圭介の家の場所はもうわかっているらしい。

「それじゃあ、明日ね」
「うん、ありがとう。よろしく」

そう言って、学校の前まで一緒に歩いて帰った。