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VARIANTAS ACT9 IronMaiden

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「ええ…意識を失っているあなたを毛布に包んで、血相を変えて飛び込んで来たわ」
「じ、じゃあこの服も彼が?」
「それは私。あなた良い身体してるわねぇ」
 笑いながら話すエレナ。
「私…彼に謝らなきゃ…」
 突然アシェルはベッドから下り、近くに架けてあった自分の服に着替え始めた。
「ちょっと! まだ寝てなきゃダメよ!?」
 エレナの声を無視して出て行ったアシェル。
「フフ…悩め悩め…」
 エレナはいたずら笑みを浮かべた。




************




 レイズは朝のランニングを済ます所だった。
 夕べ降った雨で、少しぬかるんでいるが、彼は気にせずに走った。
 彼は、アシェルの様子が気掛かりでならなかった。
 監査役としてか、一人の男性としてか…
 それはわからなかった。
 彼はタオルで汗を拭き、建物に入る為のドアを開けた。
「わっ!」
 驚くレイズ。
 そこには、髪を下ろしたアシェルが立っていた。
「あ…中尉…もう…大丈夫なんですか…?」
 ぎこちない語調。
「もう…大丈夫だ…」
 アシェルも語調がぎこちない。
「それは、よかった…」
 レイズを睨むアシェル。
「な、何でしょうか…?」
 まるで蛇に睨まれたカエルの様に固まるレイズ。
 アシェルは何かを押し殺すような表情をしていた。
「ありがとう…」
「え…?」
 レイズは思わず、彼女の顔を見た。
 頬を赤く染めるアシェル。
「レイズ軍曹…私…!」
 その時突然、辺りに警告音が鳴り響いた。
「総員、第二級戦闘配置。HMAパイロットは、所定の部隊へ。繰り返す。総員、第二級戦闘配置…」





************




[サンヘドリン本部、中央官制室]


「接続ライン、全ライン切断!」
「『ゼロセカンド』との通信途絶!」
「プロトコルに異常無し!物理切断です!」
「『ゼロセカンド』応答ありません!」
「反応…途絶…」
 官制室内は騒然とした。
「『ゼロセカンド』が…消えた…!?」




************




「ディカイオス、起動完了」
「アンビリカルブリッジ、開放」
「こちらミラーズ、発進準備完了」
「こちら官制室、そのまま待機せよ」
 グラムは、ディカイオスの中で静かに息を吸った。
「大佐、レイズ機から通信です」
「繋いでくれ」
 レイズの声が響く。
「大佐!一体どういう事なんです!?自分はさっぱり訳が解らないのですが…!」
「そうだぜ?グラム!俺も訳がわかんねぇ!」
 無線に割って入るビンセント。
 グラムは少々苛立った調子で言った。
「建設中の最重要支部、通称『ゼロセカンド』との通信が突然消えた!」
「消えた!?」
 思わず声を上げるレイズ。
「ヴァリアントの襲撃を受けたと見て間違いない!」
 突然、無線にアシェルの声が響いた。
「大佐! 私も出させて下さい! 実戦を経験させて下さい! 大佐!」
 叫ぶレイズ。
「何を言っているんですか、中尉! 死ぬかも知れないんですよ!? そんな簡単に言わないで下さい!」
「死ぬ事を恐れていては強くなれない!」
「僕はあなたの監査役として、中尉を死なせる訳にはいきません!」
 言い争う二人を尻目に、グラムはエステルが受信した情報を見た。
「軍曹!」
「ダメです!」
「二人共、もうよせ…」
 二人の間に入るグラム。
「出撃命令は撤回された」
「撤回!?」
 グラムは静かな口調で言った。
「『ゼロセカンド』は、壊滅した…!」


TO BE CONTINUED...