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喫茶店(コンセプト・仮題)

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「はあ……ついでに名前とかは?」
「たぶんタマです」
 やはり何かおかしい。子供が前の晩に見た夢の話をするようだ。実際にそうなのかもしれない。だが、もう夕方である。この時間まで普通寝ぼけるか?
「わかった、それっぽい猫がいたら知らせるよ。どうやって伝えればいい?」
「この電話番号にかけてください」
 少女はメモに090で始まる番号を書いた。
「これ、プリペイドなので心配しなくていいです」
 そう言って、少女は出て行った。今日聞くベルは三回目。
「マスター、おかしいと思わない?」
「僕もそう思うけれど、まあありそうな話ではあるよね。子供の記憶さ」
「そうかなあ」
 私はそうやると、腕時計を見遣った。そろそろかなあ、と言いつつ呟くと、やはり私は窓に角砂糖を投げた。積んであるデジタルフォトフレームが雪崩る。ついでにスピーカーもフォトフレームにより壊れ、音を出さなくなった。
「おいおい、何を」
「マスター、私がこの喫茶店に来る理由知っているでしょ。これだと良さがスポイルされるからさ」
 ひとつ間を置いて、窓を見ると、遠くの山の頂に太陽が隠れていった。昼の終わり、夜の始まりである。
 コーヒーひとつすすると、
「さて、帰るかな」
 カバンを手にとった。