伝説の……
W:world――世界は祝福する
一生懸命で、情熱的で、素敵な歌。
わたしはハル君の歌を隣で聴きながら思った。こんなに一生懸命にラブソングを歌われる人は、幸せだろうな。
ちょっとだけ、ううん、それはとっても、羨ましいな。
これが、スキ、なのかな。
歌が終わる。もう少し、聴いていたかったけど。歌は終わる。
肩で息をしながら、ハル君が本当に久しぶりに、真剣な目でわたしの目を見て……、
プロポーズされた。
グランドが静まり返る。ヤジも冷やかしも凍りついた中、動けるのはステージの上にいる、物語の主役であろう彼とわたしの二人だけ。
ずっと、待っていた言葉なのかもしれない。心の中に広がる感情が、涙になってこぼれていく。うれしい。嬉しすぎて心が壊れちゃわないように、涙が止まらないのかもしれない。
「ねぇ、わたしのこと、恨んでないの?」
「へ? なんで?」
本当にわけがわからないという風に、彼は首を傾げる。
「じゃあ、わたしの唇を奪った責任、とってくれるんだ?」
「人工呼吸は、普通ノーカウントだからな」