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三顧の無礼、されど彼は往く

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「何が、ですかって?」
陽光にきらめく黄色い綿毛のような髪を頭の高いところで纏めた、蒲公英の花のような少女は頷く。まるで、そうだと言わんばかりに。
青年はふ、と微笑むと空を指差した。
その指の先、薄い藍色の真ん中に雲が浮かんでいる。周りの雲より二回り、いや三回りほども違う大きなそれは、中程が灰色に染まり、どことなく不気味さを醸し出している。
「ほら、貴女ならご存知でしょうが……ひと雪、来ますよ、ね?」
少女もまた、青年から視線を外すと空を仰ぐ。
そして、しばらく空を眺め続けていたが気がついたようにふ、と頷いた。
「もっとも、それだけではすみそうにないんですけれどね」
彼の言葉に、少女は再び、首を傾げる。
「士元の情報によると、劉皇叔が姿を消したらしいですよ」
少女の眉が僅かに上がる。
「大方、元直の代わりの軍師でも探しているのでしょうが……」
そこでふう、とため息をつき、視線を少女に向けた彼は彼女が自身を見つめていることに気付き、ふ、と口の端を緩めた。
「ふふ、私ですか?……ううん、どうしましょうね?どうしたら好いと思いますか?」
途端に少女の眉間に幾筋もの皺が寄る。その白く寄った皺は彼が放っておくとどこまででも深くなりそうに伺えた。彼女は考え始めたのだ。傍にいる男性の身の振り方について。
「あ、ああ、いいですよ!」
彼は慌てて少女の顔の前で手を振った。
「こんな問い掛けをしておいて、とは思うのですけど、私自身、まずは劉皇叔とやらに会ってみたいと思うのですよ」