まみあな
いつもの百円均一で、茶碗を買うのはやめて、代わりに、箱とリボンと、チョコレートを袋にいっぱい買った。箱の中にぎっしりチョコレートとバラを詰めた。太ればいいじゃないかと言おうと思った。太って笑えばいいじゃないかと思った。投げられたら受けとめるつもりだった。リボンをかけた。
泣かれたら泣こう、と思った。それでいいじゃないか。それでいいんじゃないか。もう、遅すぎるよ、そう言った、祖父の声を思い出す。泣いたらいいじゃないか、もう、一緒にいるのなら。
携帯電話を開いた。電話を。
誰かを救えるものなら、かけてみようと思った。
(2005/梅雨)