Zero field ~唄が楽園に響く刻~
とイナが部屋で唐突に見張りのために隅でうずくまってるショウに聞いた。
「なんだ急に・・・別にいいけど・・・」
と、ショウはどうでも良さ気に言った。
とは言うものの、イナの次の言葉で顔をしかめることになる。
「んじゃ、必然的にテン姉さんだね♪」
ショウもテンもほぼ同時に「は?」と言った。
「なんで?なんでそうなるのよ?」
ショウはため息をつき、テンはイナに聞いた。
「え、だって二人恋人のようなもんでしょ?なら合わせるべきだよね〜って・・・」
一時の沈黙の後テンが口を開いた。
「寝ましょうか」
その後イナはショウとテンの威圧で何も言えなくなっていた。
テンは笑顔だがかなりのプレッシャーをイナに浴びせていた。
ショウは無言で浅い眠りに着いた。
ショウ達がとった部屋は2つ、バルトだけもう1つの部屋に一人で眠っている。
テンとイナの隅で見張りのショウは浅眠りする。
ショウは普段深く眠らない、いつも月を眺めて過ごしたり浅い眠りについて見張りや、暇な時間を過ごす。
窓は開かれていた。
その窓にふわりと足をかけきらりと光る何かを右手に持ちベッドで眠る少女に飛びかかった。
もうそれは少女の真上、今にも襲いかかれそうな位置にいたのだが、
「遅いな」
と、静かな声がした後、それはもう少女の上にはなかった代わりに窓の外、3階の高さの宙にあった。
静かな声の主はそれを足蹴にして3階の高さからたたき落とした。
「おい、お前は何しにきたんだ」
「・・・・」
答えはなかった。
それは、言わないと言う意志のもとに答えなかったのでも、声が出なく答えたわけでもない。
理由は簡単だった。
「・・・ぇ?まさか気絶した?」
それは、月の光で照らされて姿が分かる、20代後半の男だった。
男はたたき落とされた衝撃か、窓の外に飛ばされた衝撃かは分からないが気絶していた。
声の主はばつが悪そうに頭を掻いて3階の少女たちの眠る部屋の窓に飛んでいきまた降りてきた。
降りて来た時には縄を持っていた。
とりあえず声の主は男を縄で拘束することにしたようだ。
窓から眠たそうに顔を出す襲われかけた少女は、やっぱり眠たそうな声で呟いた。
「あぁやっぱり来たのね、毎度のごとくショウもお疲れ様だわー」
男は村に着いてからずっとショウ達の後をつけていた男だった。
その後テンはまたベッドに戻り眠りに着いた。
作品名:Zero field ~唄が楽園に響く刻~ 作家名:異海 豹