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Zero field ~唄が楽園に響く刻~

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リョウはなにやら新しい技を使えるようになり、時々敵の動きを完全に封じている時がある。妖霊術の一つなのかもしれない。
それに対してショウ一人は、特に何か使える様になった訳でも、何かを使い始めたわけでもなく、少しだけ落ち込んでいるのだが、気付けているのはテンとリョウだけである。
シルフィー達に教えてもらった魔導律、あれは、ショウとテンが休んでる時に時々歌っている事がある。
と言うのも、その魔導律…風の魔導律は心を安らげる効果があり、辺りから歌っている間、歌い終わって⌒一時間ほど魔物のさっきを感じる事が無くなるのである。
だからなのか、夜寝る前には絶対1度は歌っている。
「そろそろ、着く頃じゃないか?」
リョウが歩きながら隣に居るショウに静かに聞いた。
「そうだな、港町にはあと少しで着くな」
あの塔からバーミリアに直線で行ける道がなく、港町から西に向う一本道を進み、一つの町を経由した先の山の上に首都がある。
だから、シオンとすれ違う事は無いと言う確信がショウの中ではあった。
一つの心配と言えば、町で休んでいる間にそのままシオンが、町で休まず通過してレオンと合流するべく、アルセートレートに向かうかもしれないという事だった。
またその事を考え始めようと、腕を組もうとした瞬間に、リョウがまたショウに聞いた。
「サリナとイナに一つずつ渡していたあの石はなんだ?」
「…えっとな、実は俺もよくは分かって無いんだが、いっぱい持ってるんだこの小さな透明な黄色い石…」
ショウがリョウに握り拳二つ分ほどの袋を取り出すとその中身を見せた。
袋の中は少し光っていて、大量の石が光を反射して少し面白く光っている様に見えていて、リョウはそれを不思議そうに眺めていた。
「なんていうか、これだ!って思う人にはこれを渡したくなるんだよ、ただそれだけ」
ショウが少し照れくさく言うと、リョウは一つ無言で手にとって、自分の荷物に入れていた。
ショウも無言で袋を仕舞おうとした時、フィルとレオンも勝手に石を一つ取っていった。
「これを使えばリョウとおそろいのアクセサリー作れるんじゃないか?」
「無理じゃないか?これ魔導石(ラストオーブ)の一種だと思うから加工は不可能だと思うけどな」
テンが後ろでニコニコ笑いながら後ろ手に子供の頃にもらっていた透明な白い石を大切に握っていた。


「ねぇ?どうしたの?」
女の子が袋を持って中身を不思議そうに眺めてる男の子に聞いていた。
男の子は何も言わずに袋の中身を見せると、その中には幾つかの小さな透明の黄色い石が入っていた。
「わぁ、きれぇ…」
「これ誰かの落し物…じゃないよね、だって僕の枕の横に置いてあったし…テンのかなって思ったんだけど、その様子じゃ違うみたいだね」
「ねぇねぇ、ショウ?これ一つもらっていい?」
男の子の話を全く聞かずに、綺麗な石をほしそうにしている女の子はとてもキラキラした目で男の子を見ていた。
男の子は、話を聞いていない女の子を一瞬嫌そうな目で見たが、キラキラした目を見ているとどうでもよくなったようだ。
「いいよ、でも、もしテンにあげるとしたら、これをあげたかったんだ…なんか一つだけ白かったんだ」
それは白く透明で、無職の透明な石からしてみれば濁ってるような色にも思えるが、袋の中に入っている石と違い、この白い石だけは形が綺麗な十二面体になっていた。
女の子はそれを差し出されて、さっきとは打って変わっていきなり赤面し耳まで真っ赤になっていた。
男の子が首を傾げると女の子は、「ありがと!わ、私村長の家に行ってくる!」と言っていつも通り家を飛び出していった。
男の子は少しの間ボーっと女の子が消えたドアを眺めていたが、ふと思い出して手を額に当てて痛く悩むような表情をした。
「あいつまた村長の家なんか行って…ここ1ヶ月ずっと村長の家に行き続けてるけど…何かあるのかなぁ…鍛冶屋の手伝いして欲しいのに…」
そう独り言を言って自分の仕事を始める男の子は駆け出しの鍛冶屋なのだが、まだ働き始めて3ヶ月しか経っておらず、まだやっと修理が出来る程度だった。
だからこそ、足りない生活費は魔物を倒して売れる部分を取って売ったり、討伐隊に混じってお金を稼いだりしていた。
女の子の方は、物覚えが良く、たった1ヶ月で接近戦武器の実践に使えるものを作れるようになっていて、ちょっと時々今日の様にサボっていたりする。
男の子はその日からもずっと練習をしていたが、結局接近戦武器は実践で使える物が作れる様になったものの、女の子の武器には勝てない。
しかし、それからちょっとして武器に特殊効果を付けれるようになり、たまに来る冒険者や討伐隊の評判となり、難なく生活できるようになったのだった。


.おまけ.


「んじゃまぁ、やってきましたイナとサリちゃんの世界観かたろうぜ集会!」
「なんですか?そのかっこ悪い、ダサダサのセンスの無い、頭の悪そうな集会の名前は…」
「サリちゃんってショウ兄さん以外じゃホント容赦ないよね」
「ショウ様と王族の人間以外に遠慮なんて要るんですか?」
「とりあえず、人間関係学べ。
 …さーて、今回のゲストはー!」
「あ、勝手に先に進めないでください!」
「この人だ!」
「イナ、サリナ今回はよろしくな。
 えっと、あたしはリノア・リアーテイント、リアーテイント家の三女だよ」
「で、今回って何について話すんですか?」
「今回のお題は…”Zero fieldでの服装について”だって」
「いいねぇ、あたしこれでも色々と服にはうるさい方なんだよ」
「ふーん」
「あ、こらこら」
「…まぁ、どうでもいいけどあたしが語らせてもらうよ」
「自慢話ですね」
「こーらぁ!リノアンよろしく!」
「この世界には4つの大陸に分かれてるんだけど、気候はその大陸に住む神の属性で全然違うんだよ。
 禁忌の国のある、ゼトラスアーク、一番小さい大陸で大陸内の北と南で全然違う気候を持ってる大陸なんだ。
 北は解けない氷があると言われてるほど寒い地域で、そこに住む人たちは厚着をしていて、メルヘン(毛獣型)の毛やバード(怪鳥型)の羽で作られた服がとっても暖かいんだ。
 だからその地域じゃ毛や羽が高値で売れるし、ビースト(猛獣型)なんかの皮も高値で売れるね。
 ゼトラスアークの南は、少し肌寒い程度で年中長袖なのが普通だけど、首都なんかじゃおしゃれしてる奴らは数え切れないほど居る。
 あの男が王位につくまでは、世界の中心はゼトラスアークそのものと言われてたらしいからね、首都に行けば世界中の服を買うことが出来るって聞いた事があるよ。」
「よくもまぁ、ゼトラスアークの事をそこまで知ってますね」
「まぁ、勉強熱心って事なんだよ」
「まぁ、こんなのまだ序の口だけどね」
「でも、時間があと少ないのでまきで」
「あー、うん、まきで」
「お前ら…あたし達が住んでるサザード、ここのは涼しくて風が気持ちい大陸でね、南西の人間はほとんど動きやすい格好をしてるね。
 北東はちょっと雷雨が激しい時があるから、基本的に乾きやすい素材を使ってたりするから、保温性の高い薄い生地の服を薄着で着てるね。