Zero field ~唄が楽園に響く刻~
3唱、旅立ちを示す唄
ダダダダダ…
ザザァ…ザザァ…
走る足音と風になびく木々の音だけが響く、
足音は4つ、
ショウのものとテンのもの、
バルトと女の子のものだ。
ショウ達は女の子の言う通り村を見捨て、
徒歩で2日くらいかかる隣村の村イルミションに向かっていた。
「なんで…何でこんなことになるんだよ…」
ショウは呟いた。
「なんで分かったんだよ!
クローツは一番情報が漏れにくいからって集まってくるってのに!
何で王国にばれてるんだよ?!」
ショウは怒鳴る、
「そんなの、スパイが居るからに決まってるでしょ」
女の子は冷静に言う。
テンが膝をついて涙を流し言う。
「なんで…なんで…私たちが育った村が壊されるのよ?!
やっぱり私たちが原因なの!?ねぇショウ?!
きっと私たちがセントバイトを呼んだんだよね?!」
バルトは聞き洩らすことはなかった、
そして、バルトはテンの胸倉を掴んで叫ぶ。
「一体どういうことだ?!
お前らが呼んだって一体どういうことだ!!」
ショウは悲しそうな表情を浮かべ、バルトを突き飛ばしテンからバルトを離れさせた。そして、ショウはうつむきながら言う。
「俺らはただの人間じゃない…
聞いたことくらいあるだろ?11年前ここから徒歩で1週間くらいの場所に研究所があったのは…」
と、言うとテンがショウの腕を引っ張る。
「だめ!それだけは言っちゃダメ!」
「いや…バルトさんは知る権利がある…俺達をここまで見守ってもらった人だからな。
それにそこのチビもただの人じゃないみたいだしな…」
女の子は顔を歪めてショウを睨みつけて静かに言った。
凄まじいガンだ。
「わ・た・し・は・チ・ビ・じゃ・な・い。
私はイナフラワー!
イナって呼んでよね!」
とその瞬間、更なる追手がやってきた。
「お前がショウとテン、そしてイナだな!お前らはここで死んでもらう!」
追手の中の一番偉そうで強そうな鎧がそう叫ぶ。
鎧は鎧を着てるとは思えない速さで距離を縮める。
さらに、近づいてくる鎧の後ろから矢が飛んできた。
ショウは矢をすべて剣で撃ち落とし続ける。
そして、バルトは近づいてくる鎧たちに立ちはだかる。
しかし、鎧たちは鍛え抜かれているのか鎧を着ていても、
速い攻撃を繰り出してくる、
バルトはそれを防ぐので精一杯だった。
テンは魔力の矢で後ろの弓術師から確実に射抜いていく、イナはあとからバルトに手を貸し、数分たってから勝負はついた。
弓術師が居なくなった後はショウも鎧達と交戦し、それにより一気に偉そうな鎧まで片づけた。
「ここからサッサと離れて
まずは、他国にいる行動派のGeneretorを探しに行こうよ」
イナが冷静にショウ達に言う。
「そうだな、ここもまた時期追手が来るしな、ここは安全じゃない、それにあの様子じゃ、もう村も助からないだろうしな…」
ショウがそう言って踵を返す。
「こっちからなら遠回りになるが軍を避けてイルミションまで行ける」
そうバルトが言って先導する。
ショウ達はそれに付いていく。
「なんで…何でこんなことになるんだよ…」
「セントバルト的には私たちの力は目障りなんだと思う…」
そうイナが答えた。
バルトは走るのをやめて歩き始める。
そして、進行方向を向いたままバルトが問いかける。
「お前たちは何でセントバイトに狙われているんだ?
どうやら話を聞く限りじゃ、Generetorだからってだけじゃないみたいだな」
テンはうつむいてショウの腕を抱いて震えだす。
ショウはそんなテンを撫でながらバルトに告げる。
「ごめん、バルトさんまだ言えない…これは俺達の誰にも知られてはいけない秘密なんだ」
だから…と続けようとした時、バルトは右手を肩の位置まで上げて左右に振ってみせる。そして、進行方向を向いたまま言った。
「悪かった、人間、秘密の一つや二つはあるよな
たとえそれが村を一つ破壊した秘密でも
どうしても知られちゃいけない事ってのはある…だからもう気にすんな」
バルトは笑ってみせる。
ショウとテンは揃ってお礼を言った。
夜になり、
ショウ達は野宿することにした。
食料はイナが村から逃げてくる時にぱくって来た、
果物が少しと、そこら辺で手に入って果実だ。
ショウが見張りに立って他はみんな寝かせた。
とても静かな夜である。
音を立てるのは、たまに遠くで魔物の鳴き声や、風でなびく木々の音くらいである。
そんな静寂な夜の中ショウに声がかかる。
「ショウさんたちは魔導律が使えるんでしょ…」
「あぁ、しかも俺たちは普通じゃない…だが、まだここから先は言えない、秘密なんだ」
イナは分かってると言うとまた眠りについた。
そんな夜ショウはずっと上を向いて月を眺めていた。
そして、予定の出発してから2日で隣村イルミションに着いた。
「ここには長居ができんな、早いとこ隣村の港に行って他国に行かなきゃならねぇな」
バルトがそう言うと、とりあえず、夜だからと宿を取りに行った。
他の3人はとりあえず、これからの旅に必要なものを買いそろえに行った。
「ぁ、情報屋にも寄って行こうよ、今は少しでも情報がほしいでしょ?だから、聞きに行こうよ」
そう言ってテンが指をさしている情報屋に入る。
情報屋は全てGeneretorが営んでいる。
そして、情報屋に入ってテンが、
「夢は自分たちの手で見つけ叶えるもの、他人が見つけ叶えるものではない、四十神に誓ってそう言おう」
そう言うと情報屋は、満面の笑みで言う。
「Generetorだね、いいよ情報をあげよう、そこのお譲ちゃんドアの鍵閉めてくれ。
で、今日はどんな御用だい?」
作品名:Zero field ~唄が楽園に響く刻~ 作家名:異海 豹