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Zero field ~唄が楽園に響く刻~

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2唱、蟲の奏でる曲



ザッザッザッザッ…
土を蹴る音に似た音をさせて、洞窟を歩いている。
「確かに変だな…いつもの魔物もいるんだが…数が減ってる…」
「うん、いないはずのインセクト(怪虫系)の魔物が居るわね…気持ち悪くて仕方がないわ…」
とあまり大きく無い声で言葉を交わすのはショウとテンである。
それを後ろを警戒しながら付いてきていたはずのバルトがこの会話を聞いて警戒を解き笑いながら、
「はっはっはっ、お前は相変わらず虫が苦手なんだな!」
「ち、違うもん!もう結構大丈夫になったもん!」
と顔を赤らめながらテンが叫ぶ。
「あ、こら叫ぶんじゃ……」
”ない”と言いかけたショウの言葉は後ろから突如起こった大きな声で遮られた。
キュリュルルルルルゥゥ…
と大きなインセクトの赤い魔物が鳴きながらショウ達を見つめている。
よく見ると魔物の口元には大量の血のような物が付いている。
「あれは…ちっ…あれが親玉のようだな…」
バルトが歯を食いしばり、怒りをあらわにして斧を構えて言う。
続けてショウとテンも構える。
テンは目が据わっていて、いつもとはまとっている気迫が全く違う。
(だめだ…さすがにでか過ぎた…テンの目が据わってやがる…これは…キタな)
ショウは鞘から剣を抜いて何も言わずにすぐ走り出す。
「テン一気に片付けるぞ!」
「言われなくても分かってんだよ!少し黙ってろ!」
バルトの指示に言葉を激しく叩きつけたのはテンであり、テンの声と態度は全く別物になってしまっている。
バルトが口をあんぐり開けて硬直している。
それを見たテンは、
「おら!この鈍間なおっさんサッサと突っ込め!」
と蹴とばして叫ぶ。
バルトは目を点にしながら、おろおろテンに戸惑いつつ魔物に向かっていった。
魔物はムカデ型であり、この大きさともなるとかなりの厄介な部類に入るのである。
動きが早く、背中の甲殻が固い、少しの隙を見せればすかさず攻撃を仕掛けてくる。
ショウは速さに余裕で付いていっているが甲殻に手こずっている。
「鈍間おっさん!甲殻をその斧で破れ!」
と手こずるショウをテンが見て叫ぶ。
バルトはショウの誘導により正面に来たムカデの甲殻を斧で叩き割る。
テンはその割られた隙間に、弓から放たれる魔力の矢をありったけ打ち込んでいく。
バルトはそうやってどんどん甲殻を破っていく。
ショウはテンの矢が当たるように誘導したり、甲殻の隙間に剣の刃を入れたりして攻撃するが、その際に多少攻撃を受けてしまう時があった。
そうやって長い時間戦った結果。
ムカデは大きな声をあげて倒れていく。


「さすがに速いから攻撃かわしきれなかったな…」
と傷ついた腕やら体を見て言うショウ。
「その割に…痛そうに…してないのはなぜだ?」
と、痛そうに顔をしかめてバルトが言う。
そこに駆け寄ってくる影があった。
「ショウ!大丈夫?!」
「ん?あぁ大丈夫だ」
テンの心配な声を安心させるように明るい声でショウは答えた。
テンが魔力を使いショウの傷の手当てをしようとすると、
「俺より先にバルトさんをやってあげろよ…」
とショウがバルトを見ながら言う。
バルトは首を横に振るが、テンはバルトの傷の手当てをする。
ショウはテンを見て言う。
「相変わらずどうしても無理なもの見たとき性格変わるな・・・」
「へ?!ぇ・・・だって・・・怖いんだもん・・・」
とテンが顔を赤らめて言うが、それをバルトが真面目な顔で、
「いや、お前の方が怖かったぞ、真面目に」
ガスッ!!!
テンはバルトのあごにアッパーを繰り出した。
「す、すまん!頼む!許してくれ!だからもう殴らないでくれよ!」
と、次の一撃を構えてるテンにバルトが焦って言う。
ショウが問答無用で次の一撃を入れようとするテンを、
後ろから抱きつくように両腕を抑える。
「うんにゃ?!」
とテンが叫ぶ。
「はいはい、抑えて抑えて・・・」
テンが顔を真っ赤にして座り込む。
それをショウがひょいと持ち上げて、出口を目指す。
バルトが目を点にして呟く。
「お姫様抱っこしてるよ・・・」
テンは顔を真っ赤にして気絶していた。


外に出て村を見下ろした。
しかしそこには元見た村はなかった。


「この村に腕利きの鍛冶屋が居るって聞いたんだけどぉー?」
と、金髪のポニーテールをした小さな女の子のような声がそう言った。
「ん〜?たぶんそれはショウの事かしら?」
と、カミアが答えた。
そして、ショウと言う名前を聞いた瞬間に女の子は声を明るくして、
「そう♪それそれ♪ショウだよショウ♪」
カミアが少し後ずさる。
「で、ど、どうしたのかな?ショウに何か用かな?お譲ちゃん?」
「うん、えっとね・・・今この村が消えようとしてるからそれを伝えにきたんだけど・・・」
カミアが笑いだす。
「な、な!?なんで笑うのよ!」
カミアが笑いながら謝る。
しかし笑いは止まらない。
女の子は真剣な顔で続ける。
「真面目な話なの、あいつら止めないとこの村ホントに消えるよ?」
カミアは笑いながら、
「ごめんね〜、ショウなら今、裏手の洞窟に行っちゃってていないのよ〜」
「・・・」
女の子はムスッとして走り去る。
カミアの笑いはその後数秒で止まることになった。
カミアは目を見開いて村長のとこに走り出す。
カミアが見たものは、それは、この大陸を納める王国セントバイトの軍隊の旗だった。


そして間もなく、
セントバイトの軍隊は村に着き、
問答無用で村を破壊し始めた。
村人は抗戦するも王国の軍人に敵うわけもなく。
ただただ村は破壊されていくのであった。


「あれはなんだ!?」
ショウが叫ぶ、テンもそれを見て悲鳴を上げる。
バルトはひざまづいて脱力して言う。
「一体…なんだって言うんだよ…これはよぉ…」
「なんで・・・何で私たちの村が壊されてるの!?」
テンが叫んで間もなく小さな影が走り寄ってくる。
しかし、寄ってくる影は一つではなかった。
ショウが剣を構える。
小さな女の子がショウの後ろに隠れると、
ショウは一気に走りだし女の子を追っていた兵士3人と交戦する。
テンの援護もあってあっさり勝利する。
そして、テンが女の子に聞いた
「一体何が起こっているかわかる?」
「あの村は、セントバイトの軍は反逆者を滅しにきたんだよ・・・。
 Generetorが多いこの村をね…」