コンティニュー
Q3
「コンティニュー、する?」
カタナの死体は三度目の問いにも反応しない。生き返らない。
――まだ、答えていない。
考えている。この世界に生きる意味を。
夢のような世界には、現実で失われたものと幻想で培われたものが溢れている。そこには歪な生活が自由に成立し、異常な法則が矛盾しながら共生する。
管理者が統御システムを常に管理・調整し、あらゆる不都合を消し去る。
暴力は痛みを伴わない数字として処理され、快感は犠牲を伴わない嗜みとして赦される。
犯罪は忘れられる。
不正は見逃される。
堕落は保護される。
努力は報われる。
老いは訪れず、病にも冒されない。
才能はほしいままに購入できる。
願いは――叶う。
死者ですら、生き返る。
それでいて誰一人として被害を受けない。悲しむものは、一人もいない。 何一つ欠ける事無く続く、楽園。
その世界の神が、もはや光を映していないカタナの死体の目の前で、問うている。