夜顔
階段を登りきり、ロープを首に かけたところで、前のおっさんが立ち上がった。
「本日、十月十二日より 、α-21もとい、霧崎 悠(きりさき ゆう)を民間人大量虐殺の罪に基づき、死刑の執行を行う」
突如、床にあった四角形をなぞった線に沿って、大きな穴が開いた。
足場が 無くなったことで、身体は重力に従って落ちる・・・のだが、首にかかったロー プのせいで落ちるに落ちられない。
縄が食い込み、首に掛かる負担が徐々に 大きくなる。眼球が圧迫されるような感覚、喉に全体重がかかる痛み、深海に溺 れ落ちたような呼吸困難、色づいた視界が徐々に白に染められていく。
「 ―――体から離―――魂へと―――化し、この―――浄―――まえ―――」
最後に聞いたその言葉は、何やら宗教染みた言葉だというのは理解する寸前に― ――