影響された世界にて
ルリジは、獣をそのまま撃ち殺すことができた。だが、何が起こったのかを理解できずに、呆然と転んだままだ。
なにせ、銃声を聞いたことなど一度も無いのだから、無理はない。彼には突然、何かが爆発したとしか感じなかっただろう。
ウォーも、今の発砲の後、しばらく呆然としたまま、ルリジと死んだ獣を見ていたが、ロボの『大丈夫ですか?』という声に我に返った。ウォーはルリジの元に駆け寄ると、ルリジの体を揺すった。
「オイ!!! ルリジ、大丈夫か!?」
ウォーの呼びかけに、ルリジはやっと我に返ることができた。そこに、ロボがゆっくりと飛んできて、
『我々の世界の自動小銃『AK47』はいかがでしたか?』
「…………」
元気そうなロボに、ルリジは返す言葉が無かった……。ウォーは、小さな煙を出している彼の自動小銃をしげしげ眺めた後、自分の自動小銃をしげしげと眺めていた。
ルリジとウォーは、獣が死んでいることを確認した後、ピスの容態を確認する。少し離れたところで、ロボは、そんなピスを観察していた……。
「ウ、ウ〜ン……」
ルリジがピスの背中を揺らすと、彼女はゆっくりと起き上がった。切り傷が少しあるだけで、ルリジとウォーは安堵する。
起き上がった彼女は、すぐそばで倒れている獣を見た。
「そのロボが倒したの?」
ピスはロボを指さして言った。
「いいや、ぼくが倒した!」
ルリジは得意気にそう言った。特に何もしていないウォーは、恥ずかしそうにしている。
ルリジは、ピスが「すご〜い!!!」とか「ルリジ君かっこいい!!!」とか「抱いて!!!」とか言ってくれることを期待していたと思うが、彼女は「そう」と静かに言っただけだった……。
『それで、今からどうしますか? 特務艦に戻られますか?』
ロボは急かすような口調でそう言った。ルリジはウォーとピスの顔を見た後、
「いや、もう村に帰ることにするよ。よかったら、お礼に村に招待するよ」
ルリジのその言葉に、ピスはハッとしていた。
「それはいいな」
ウォーがそううなずいた途端、ピスが、
「ダメだよ!!!」
そう大声で叫んだ……。