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大人のための異文童話集2

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第17話 カエルの小瓶


遠い昔のことでした。
川の流れに合わせて小瓶を流せば、必ず届くと信じていた、寂しがり屋のカエルがいました。
確かに小瓶は流れて行くけど、でも、それを拾うものがなければ、小瓶そのまま何処かへ……。

小瓶に入れた、カエルの寂しい想いは見えはしない。
小瓶の中に見えるものは、ただ小さな手紙だけ。誰かがそれを読んでもいいようにと、胸の内を覆ったコトバだけが詰まってるのです。

流れて行く川の先きに、いったい誰が待つのか……。
カエルを待つものなどいるはずもありません。
自分でもそれは分かっているのに、カエルは毎日我慢強く、小瓶の帰りを待ち続けてるのでした。

たくさんの雨が降れば川の流れも変わだろう。
流れが変われば、この手にきっと小瓶も戻るだろう。そう思いつつ何度も何度も……。

白馬に乗ることは出来なくても、寂しがり屋のカエルは、それでもカエルの王子様。
あの美しいお姫さまがやって来て、この醜い姿の呪を解いてくれると信じているのです。

早くたくさんの雨が降ればいいな、そう思いつつ、カエルは空を見上げてはゲコゲコ鳴きます。
そのうち空は、そんなカエルの声に答えるように、嵐のようなたくさんの雨を降らせたのでした。

カエルは待ちに待った時が来ると思って、大きな期待を胸に秘めて待つのです。
小瓶が流れ、自分の元へと戻って来ることを思って、ひたすらに待つのです。

カエルは毎日、そんな期待を込めながら川を眺めてゲコゲコ。

一度だけ……。
お城の池で目にした、あのお姫さまに届いたかな。
彼女はいつも川辺で遊んでいるといっていた。
川辺ではしゃぐ楽しさに、勝るものはないのだと言ってた。

カエルは彼女のその言葉を信じて、あれから何度も川に小瓶を流してみたけれど、いつまで経っても流した小瓶は戻って来ません。

川辺で遊ぶより、もっと楽しいことを見つけたのだろうか?
そんなことを思いながら、またカエルは、ゲコゲコと雨を呼び続けたのです。

そんなある日のこと。
ひとつの小瓶がカエルのいる川岸に届きました。
でも小瓶の中にあった手紙には“お姫さまは溺れて死んでしまいました”と書いてあったのです。

そのときカエルは、自分があまりに夢中になり過ぎて、いつでも必要以上の雨を降らせていたのだと知ったのでした。

小瓶が戻って来ることを願いすぎたから……。
小瓶に託した想いが強すぎたから……。
自分がお姫さまを殺してしまったのだと、いつまでもいつまでも、カエルは泣き続けたということです。

だからカエルは雨の気配がすると、空を見上げてはゲコゲコ鳴きます。
死んでしまったお姫さまを慕っては、今も悲しく寂しくゲコゲコと、鳴き続けているのです。