FLASH
やっとのことで沙織が言った。だがユウにはそれが嘘だとわかって、溜息をつく。
「どうして嘘つくの? そういうふうに隠されたんじゃ、何かやましいことがあるんじゃないかって思っちゃうよ」
「やましいことなんてないよ!」
沙織が言った。ユウは、ただ静かに沙織を見つめている。
「……じゃあ、どうしてそんなにムキになるの?」
「なんでもない……」
「……わかった。話したくないなら、もういいよ」
ユウは静かにそう言うと、立ち上がった。少し怒っているような感じにも見えたが、その声は優しい。
「今日はもう、帰りなよ。送るからさ……」
すでに支度を始めているユウがそう言った。沙織も立ち上がって、支度を始める。すると、ユウが後ろから抱きついてきた。
「沙織……僕のこと、好き?」
ユウの言葉に、沙織は一瞬、押し黙る。
「……うん。す……き……」
そう言ったところで、沙織の目から涙が溢れた。もう、嘘はつけなかった。
沙織はそのままユウの手からすり抜け、その場にしゃがみこむ。そんな沙織に、ユウはすべてを理解した。
「諸星さんのことが……好きになっちゃったとか?」
静かに尋ねたユウに、沙織は首を振った。今は何も考えられない。
「ごめんなさい。今日はもう、帰るね……」
沙織はやっとそれだけを言うと、ユウのマンションを出ていった。ユウはしばらく、その場に立ちつくしていた。