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第１章　前にもあった始まり方

　　　第１話　『中京都軍』

【時間軸】…異次元暦４２７３４年　１２月１２日
【場所】…７５８号世界（管理者『ＣＲＯＳＳ』)　
　　　　　中京都（愛知県）名古屋市
　　　　　金嬢高校



　その高校３年生の少女は、空き教室で、机に突っ伏して寝ていた……。その高校の制服を着ている。
　今は授業中や放課後でもなく、昼休みの時間帯だった。その少女は、昼寝をしていたのだ。ちなみに、その教室には、のんびり昼寝をしている彼女しかいない。安眠するには、最高の環境というわけだ。
　その少女は、パーマのかかった長めの茶髪をしていたが、不良少女には見えない。そして、彼女の顔やスタイルは、トップモデルの域に達していた。いわゆる「ボンキュボン」というやつだ。
　それはさておき、彼女は誰にもジャマされることもなく、幸せそうに眠っていた。

　ところが、小柄な人間が、何かに追われているかのように勢いよくドアを開けて飛びこんできた……。
「司令官！！！」
その人物は、ぐっすり寝ている彼女に大声で叫んだ。だが、彼女は眠り続けている。
「大須司令官！！！　大須さん！！！」
より一層大きな声で、名前を叫んだ。その人物は、高校生ぐらいの少年だった。
「あっ！　いたいた！！！」
その少年の後ろから、この高校の生徒らしい女子高生の群れが、彼を取り囲み、一斉に抱きついた。
「……ちょ、ちょっと！　離してくださいよ！！」
少年は赤面しつつ、恥ずかしそうに必死に叫ぶ。
「だめ〜！！　一生離さないんだから！！」
「なっくん、うちの高校おいでよ！！　女子校だけど、なっくんなら、女装すれば大丈夫だよ！！」
少年に抱きつきながら女子高生どもが、口々にやかましく言う。

　そのうるさい声のせいで、教室で寝ていた大須は目を覚ました。彼女は、哀れな（？）少年の姿を見た途端、
「何してんの！！！　すぐにその子を離して、この部屋から出ていきなさい！！！　中京都軍の司令官として命令するわ！！！」
とても大きな声で怒鳴った……。