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VARIANTAS ACT6 閉鎖

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Captur 1

[2188年12月17日0500時、インド洋上]
「こちら、インド洋第二艦隊所属増援部隊、航空母艦『オリオン』。貴艦隊への受け入れを願う」
 オリオンは待機中の第一艦隊へ側面から近付いた。
 オリオンの上空を、艦隊の空母から発進したHMAが飛行し、艦をエスコートする。
 朝霧に包まれた艦隊。
 肉眼では不明瞭なシルエットが、朝日に照らし出され、徐々に明確になっていく。
 海面に浮かぶ巨大な艦の集団。
 それは空母四隻を中核とした大艦隊だった。
「こちら第一艦隊旗艦、ヒュぺリオン。受け入れ態勢に入る。オリオン、歓迎する」
「こちらオリオン。エスコート、感謝する」
 オリオンは艦隊に接近し、そのまま静止した。




************




「こちらブラボー。艦隊周辺に異常なし」
 数機の艦載機が艦隊の周囲を警戒飛行している。
「こちらチャーリー。異常なし。ブラボー、本部からの機動戦力支援は、たったの空母一隻分だぞ?」
「こちらブラボー。心配するな。その一隻には、例のディカイオスが積んであるんだ。奴らに勝ち目は無い」
 艦載機のパイロットはオリオンを見て言った。
「『ディカイオス・エイレーネ』…まるで…偶像みたいだ…」




************




[0630時、サンヘドリン本部中央作戦司令室]


「ゲートの様子は?」
 司令室後方、スクリーンを一望できる司令官専用席に座り、ガルスが鋭い眼付きで言った。
「境界面の活性度が上昇してきました。まもなく湾曲率が最高点に達します」
 ガルスは髭をさすり深呼吸をすると、机に頬杖をついた。
「司令、コーヒーをお持ちしましょうか?」
 彼の横に立つ女性が言った。
「うむ…頼む…」
 優しく微笑んだ後、コーヒーを入れに司令室を出る彼女。
 そのとき。
「司令。艦隊前方400kmに飛行物体あり! IFF、反応なし!」
 ガルスは思わず席を立った。
「なに? 詳細は?」
 オペレーターはキーを高速で叩いた。
「飛行速度は約300ノット! 輸送機です!」
「民間機か!?」
 オペレーター達は戦闘区域に民間機が居ることに動揺を隠せなかった。
「IFFにコールを続けろ!」
「何なんだ!一体!どこのだ!?」
 司令室は一瞬にして戦場と化した。
「まあ…。折角のコーヒーが冷めてしまうわね~…」
 コーヒーをトレーに載せて司令室に戻ったレイラは、動揺することなく、空席となった司令官席の机にマグカップを置いた。




************



[0635時、インド洋第一艦隊旗艦『ヒュぺリオン』]


「IFF応答なし! 未確認機、当艦隊へなお接近中!」
「当該機、交戦予測エリアに入りました!」
 本部と同時に、艦隊も騒然とした。
 全ての艦は、既に第一級戦闘配備に有り、空母はいつでも艦載機を発進できる状態にあった。
「超空間ゲート、開口まであと四分!」
「このままでは、民間人が戦闘に巻き込まれます!」
 刻一刻と、ヴァリアンタスの侵攻が迫っている今、作戦を中止することは出来ない。
 しかし、このまま戦闘に民間人が巻き込まれ、もし死亡すれば、大きな問題となる。
 艦隊は大きな選択を迫られた。
 一方グラムは、ディカイオスのコクピットの中で静かに瞑想を続けていた。
 コクピットの中は外の音から遮断されており、非常に静かだった。
「大佐、ブリッジから緊急の通信です」
 エステルが通信回線を開いた。
「ミラーズ大佐! 緊急事態です! 戦闘領域に民間機が…!」
「分っている」
 彼は慌てる事無く、冷静に対応した。
「それは民間機ではない。それにはあいつが乗っている」
 グラムはその輸送機が何なのかを分っていた。
 そして、時は満ちた。
「ゲート空間湾曲率、臨界点突破!」
「ゲート内に質量反応多数! 数、500!」
 ついに超空間ゲートはその口を開いた。
「作戦は続行! 全機出撃!」
 グラムの乗るディカイオスは発進デッキに乗った。
「レイズ!」
「はい!」
「出撃後、お前は海兵隊機四機とともにフォーメーション! トップはお前だ…シェーファー!」
「ROG!」
 グラムはレイズに指示を出し、そのままオリオンのデッキに出た。
「行くぞ…エステル」
「はい」
 慣性制御をON。バーニアをチャージ。
「グラム=ミラーズ、ディカイオス・エイレーネ。出撃る!」
 一瞬で大空へ飛び立つディカイオス。
 次にレイズの機体がカタパルトに乗った。
「行こう!サラ!」
「はい!」
「レイズ=ザナルティー、シェーファー01!出ます!」
 リニアカタパルトで一気に加速され、レイズ機はそのまま飛び立った。




************



[0635時、『未確認機』内]


 機内を流れる軽快な音楽。
 機内の壁に貼られた、水着の女性の古いポスター。
 床にはビールの缶が2、3本散らばり、ゆっくりと左右に転がっている。
 その輸送機の機内にある長椅子に、グラビア雑誌を顔にかぶせ、いびきをかいて寝ている男性がいた。
 機体はオートパイロットで、操縦士も長椅子で寝ている。
 誰もIFFに気づいていない。
 ふと、操縦士が目を覚まし、操縦席についた。
 コンソールに目をとめる。
「ん?IFF?この辺には誰もいないはず…」
 パイロットはコンソールを『コンコン』と突いた。
 『IFF』の文字は消えない。
「旦那、ビンセントの旦那!」
 パイロットは寝ている男を起こした。
「んあ!?」
 寝ぼけ眼の男は、あのビンセントだった。
「IFFが…」
「IFF…?」
 ビンセントは窓から外を見た。
 何も見えない。
「故障じゃねぇのか?この艇オンボロだしー。それにこの空路はスポンサーの持ち物だろ?」
 ビンセントはもう一度長椅子に寝ようとした。
「旦那!! レーダーに変なものが!」
 輸送機のレーダーが艦隊を捉えた頃には既に遅かった。
 ビンセントは窓の外を釘いるように見た。
「なんだ…ありゃぁぁぁ!!」
 ビンセントは雲の切れ目から艦隊を確認。
 そのとき既に、輸送艇は二機のスパローに挟まれていた。
 スパローより無線通信。
「Diarm and follow me. I say again, Unknown, this is SanhedrinNavy,You have been intercepted.Diarm and follow me, 武装を解除し、我に続け。繰り返す、不明機、こちらはサンヘドリン海軍機である。貴機は迎撃を受けている。武装を解除し、我に続け」
 ビンセントは即答する。
「反転! スタコラサッサと逃げるぞ!」
「え!? いいんっすか!?」
「うちらはいろいろやばい事してきたでしょうが!!」
 パイロットは機体を急いで反転。
 邀撃機から逃げようとする。
 次の瞬間、レーダーに無数の光点が現れた。
「だ、旦那! これ!」
「そう言うことか!」
 ビンセントは、それがヴァリアンタスであることを瞬時に理解した。
 ソルジャーがミサイルを発射。
 輸送機に迫る数発のミサイル。