ひまわり
まみはうれしくてたまらなくなり、身を乗り出して言いました。
「そ、そこって、ひまわりがいっぱい咲いていたでしょ。線路に並んで」
「ええ? よく知ってるわね」
お母さんは目をまん丸くしています。
「うふふ。あははは……」
うれしいのとおかしいのと、不思議な気持ちでいっぱいになったまみは、こらえきれずに笑い出しました。
「へんな子ねえ。何がおかしいの?」
お母さんがあきれていった時です。
ピーーーィ!
遠くかすかに、汽車の汽笛の音が聞こえてきたのです。まみとお母さんは顔を見合わせました。
すると、窓からそよいできた涼しい風に、ふわっと草の香りがただよってきました。
青い空と緑の山、赤い屋根の小さな駅。どこまでも続く黄色いひまわりの花。
かたたん かたたん……。
二人は目を閉じて、なつかしい風景をいつまでも思い出していました。