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詩篇 蒼いけむり

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第十四篇 せめてひと言


それならそれで
せめてひとこと さよならをくれればいいのに
それであなたを責めたり
恨んだりすることはないのだから

私に足りないものが その人にはあった
ただ それだけのことでしょう
私を必要とするより その人を必要とした
ただ それだけのことです

今の私には あなたと一緒にいたときの表情はなく
どれほど悲しいメロディを耳にしても
流れる涙もないのですよ
ただ 何故かこころが冷たくなっていくだけなのです

あなたに出会えて安らかな時を過ごし
毎日が愉しくてとても優しい気持ちでいられた
たとえあなたの想い 薄らいでいっても
私はあなたを忘れることはないでしょう

今、考えることは
無くしたものがあまりに大きく
冷えてしまう私のこころを
どのように温めてやればいいのかということ

今の私には あなたと一緒にいたときの表情はなく
どれほど悲しいメロディを耳にしても
流れる涙もないのですよ
ただ 何故か目の前が白くなっていくだけなのです
だから
せめてひとこと さよならをくれればいいのに
それであなたを責めたり
恨んだりすることはないのだから

作品名:詩篇 蒼いけむり 作家名:天野久遠