流星群の叫ぶ夜
あの喧嘩はどう見ても全部私が悪いのだけど、先に謝ったのは彼女で、それがまた許せなくて。その時に一緒に謝ればよかったものを私は謝らなくって、機会を逃がした私はズルズルと引き摺りに引き摺って、それで、最終的にあの時。
「久奈はいつも、そう。プリンを買えば私が許すと思ってる」
「…………そんなつもりはないんだけどなぁ」
「絶対そう!それに、謝罪の気持ちがあるならもっと高い奴がよかったぁ」
「他にも色々買おうとしたら、さ。お金なくなっちゃって……」
「もぉ……」
「次はケーキ屋のでもパステルのでもクレヨンのでも好きなの買うから!今回はそれで許して!!」
「…………絶対だよ?」
「…………うん」
今、見たいに三個パックのプリンを渡して取り繕う事無く見っとも無く謝ったんだ。
それをみて知佳は仕方ないなぁって呆れたように笑ってから、二人でそれを食べたっけ。その時に、そういえば「プリン、好き」って言われたんだ。
確かあれは、中学3年生だった。
まさかのサイクルに、成長してないなぁと小さく笑みが漏れて怪訝そうな顔をされた。何でもないと手を振ってみせ、前を行く彼女に付いていく。
後ろから見る背中は三年前と殆ど変わっていなくって、なんだか昔に戻ったような錯覚がした。
星が落ちる頃、私と知佳は毛布に包まりながら二人してプリンを食べていた。
この夜の為に何処からか引っ張り出したのか、小学生の時に使っていた懐かしい星座早見盤なんて持ち出していて、それを覗きあいながら、深夜だから小さな声で、あの星は何々だと言い合いながら星に祈った。
(どうか、受かりますように)
面と向かって言える様になれるまでまだ時間は掛かりそう。
けれど、昔の様に喋るなんて、なんて、簡単な事だったのでしょう。