彼と私の宇宙旅行
家まで送ってもらうと、ちょうどモニターに受信ランプが点った。
〝彼女〟からのメール、その添付写真が届く。
そこには何となく見覚えがあるガタイの良い男と、その隣で微笑を浮かべる〝彼女〟の姿があった。
『任務期間は往復で二十年。ただし、目的地においての任務の続行に関しては本人の自由意志によって選択が可能である』
遠い宇宙の最果てで、〝彼女〟は何を想うだろう。〝彼女〟はもう地球には帰ってこないかもしれない。そんな予感をさせる幸せそうな微笑が、送られてきた写真にはあった。訓練校ではこんな表情を見せたことはなかったのに。彼女もまた、自分の生きる道と、一緒に歩むパートナーに出会えたのかもしれない。
私は久しぶりにメールを送ることにした。〝彼女〟まで届くようにと想いを込めて。今ではもう、機械と生身の両腕によるタイピングは誰にも負けないほどに速くなった。ものの一分も掛からずに想いは形になる。
『お久しぶり。あなたの笑顔、初めて見ました。自分では気付いてないかもしれないから言うけど、あなたとても幸せそうよ。私も、大切な人と写真を撮りましたので送ります。ではまた。』
向日葵畑で彼と撮った写真から一枚を選び添付する。迷わずに送信ボタンを押してから、想いを馳せる。
「来週はお泊りで温泉にしようかしら」
〝宇宙船〟に乗れば、どこにでも行ける。
彼と一緒に、この広い〝宇宙〟へ、どこまでも。