男女平等地獄絵図
わたしの『死』
あぁこれは正真正銘…。
「ごめんね、柳さん。僕彼女いるんだ。」
あぁあぁぁぁああああああ
足下がぐにゃぐにゃと歪んでいく…。
ズバッととどめを刺されちまったぜ…。
爽やか沢谷はなおもすまなさそうに口を開く。
「…でも、嬉しかった。クールビューティーでモテモテの柳さんに告白してもらえるなんて。」
んん…?
くっクール…?
(あらら…、なんだか足下がますますぐにゃぐにゃ…)
ぐわんぐわんと頭が痛む。
いいや、これは心の痛みに違いない。
私は柳椿、16歳。
口が悪いのがたまにキズの普通の女の子だ。
中学のころは運動が全般得意でよくいろんな部のスケットにいっていた。
ただね、ちょっとばかし顔がいいことには気付いてたから高校デビューしてみたんだ。
天パのショートをロングにしたらそれだけでユルフワモテ髪に変身できたし、目もわりとおっきいから変身はわりかし簡単だった。
ところがどっこい…
「クール?」
私が…クール?
(ユっユルフワモテ子のつもりが…)
あれかな?
友達が高2にもなって1人もいないからかなぁ。
中学のころならいっぱいいたのに…。
好きな人にはフラれ、友達もなし…。
「私なんで頑張ったんだろ…。」
やば、がらにもなく涙が…。
…てゆうか…なんか…背中がちくちくしない?
…。
はれ?
私はなんでだかだだっ広い草原に倒れていた。
蝶々が飛び交い、花もさきまくっている。
近くには透明な小さい川まで流れていた。
(…夢か?)
夢だな。
夢なら夢でよかった。
爽やか沢谷の夢でないならそれでいい。
私は溜め息をひとつついて立ち上がった。
せっかくだからちょっと詮索するかな。
(川…。)
そういえば、ちっさいころは父さんとよく川で遊んだっけ。
ザリガニとかサワガニとか色々捕まえて家に持って帰って育てたよな。
「…。」
(あの頃は…楽しかった。)
…せっかく、だし…。
夢だし。
遊ぶか!!
「づめだ!!」「ぎゃっ魚!!」「ぎゃっ石痛い!!」
一人ではしゃぐってむなしい!!
…でも楽しい。
私は呑気に川遊びをしていた。
そのせいで、180度人生が変換するおかしな出会いをするはめになることも知らずに。