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◆ 違い
自分とおまえは違うって言うと、お前はわからないと不安な顔で首をかしげる。それが嫌で、ごめん、同じだ、って言うと、お前はうれしそうに笑う。でも、やっぱりそれじゃ不服。そしてまた最初に戻る。そんな、鏡の前での、小一時間の格闘。


◆ 手
一番大事な人を失った。振り返る人間が怖い。差し伸べられる手が怖い。だって、その手を取ったら、自分がきっと壊すから。それでも、絶対に壊れない手はあると誰かが言った。すぐそばにあるのだと。自分の手を見てごらん。その手は、お前が壊れない限り、壊れはしないよ。と。　


◆ 真っ白なノート
物語を読んで本を閉じる。なんだかしっくりとこない。理由は分かっている。「この物語の続きはないんですか？」店員に聞くと、彼女は笑って別の1冊を差し出した。喜んで開くと、そこには何も書かれていない。手元にそっと、鉛筆が差し出された。


◆ ちっぽけ
ぽけっとの中のおいしいクッキー。叩けば2枚。もっかい叩けば4枚。どんどんどんどんちいさくなる。でも、そのちっぽけな欠片は、1枚のおいしいクッキー。　ちっぽけだけど、おいしいクッキー。


◆ 花嫁
純白の衣装と晴れやかな空。教会の鐘が鳴り響く中、讃美歌を乱したのは破壊された扉。そこには赤いバイクに乗った彼がいて、不敵な笑みで私に手を差し伸べる。けれどそれは夢。現実は何段もある階段の一番下で、貴方は心にもなく、笑っている。