HARP
7月下旬。
少し蒸し暑くなってきたときに
とっても退屈な英語の授業。
有沢七瀬はHBのシャーペンを回しながら窓の外を見ていた。
ああもう、退屈。
ずっとそんなこと思っていた。
授業が終わるまであと40分は有る。
七瀬は
はあ、とひとつため息をついた。
学校なんてつまらない。
なくなってくれればいいと思う。
期待を膨らませ入ったこの高校は、
先生は教え方が下手。
童顔で素直で好奇心旺盛な七瀬は
男子から人気があり、いろんな人に告られたものの
彼氏はいない。
そろそろ彼氏がほしい年頃だ。
それに毎日が当たり前すぎて、とっても面白くない。
「何かいい出会いがないかな。」
七瀬はそっと呟き、そして、眼をつむった。
するとちょっと経ってからポロロンと何かの音が七瀬の小さな耳に届いた。
何の音?
再び眼を開き、そして隣にある少し開かれた大きな窓に目をやる。
鮮やかな緑に彩られた丘が見えて、その上。
人の影が見える。
誰だろ、あれ。
そう思ったらいられない、好奇心旺盛な性格。
「先生、おなかが痛いので保健室いってきます!」
と先生に告げ、七瀬は走り出した。
はあ、はあっ
やっと着いた、丘の上。
いつも窓から見ていて低いな、とおもっていた丘は
思ったより高く、汗をかかずには登れなかった。
そのかわり。
例の音の源と、それを弾いている男の人を見つけた。
音の主を見て、七瀬はピンときた。
前音楽の教科書でみた、ハープという楽器だ。
男の人が持っていたのは、
吹奏楽部の人が弾いてたのと違い、小形なハープだった。
確か、ケルティック・ハープと言ったはずだ。
そして、その音色。
どこか寂しげな感じがする弾き方で、何かの曲の伴奏のようだった。
七瀬は初めから聴きたいと思い、その男の人に声をかけた。
「すみませんっ」
その声を聞いて振り返った顔は、男の人ではなくて、男子というような感じで....
同い年くらいだと思った。
「何?」
だが、声には温もりがなく、顔は生きてる感じがしないほど真っ青で眼は虚ろだった。
心が死んでいると言えそうだった。
この人に何があったかは解らない。
けど、つらいことがあったのは確かだと悟った。
「あの、この曲はなんですか?」
びくびくしながら七瀬は聞いた。
きっと優しい人だろうけど、今は怖かった。
少し蒸し暑くなってきたときに
とっても退屈な英語の授業。
有沢七瀬はHBのシャーペンを回しながら窓の外を見ていた。
ああもう、退屈。
ずっとそんなこと思っていた。
授業が終わるまであと40分は有る。
七瀬は
はあ、とひとつため息をついた。
学校なんてつまらない。
なくなってくれればいいと思う。
期待を膨らませ入ったこの高校は、
先生は教え方が下手。
童顔で素直で好奇心旺盛な七瀬は
男子から人気があり、いろんな人に告られたものの
彼氏はいない。
そろそろ彼氏がほしい年頃だ。
それに毎日が当たり前すぎて、とっても面白くない。
「何かいい出会いがないかな。」
七瀬はそっと呟き、そして、眼をつむった。
するとちょっと経ってからポロロンと何かの音が七瀬の小さな耳に届いた。
何の音?
再び眼を開き、そして隣にある少し開かれた大きな窓に目をやる。
鮮やかな緑に彩られた丘が見えて、その上。
人の影が見える。
誰だろ、あれ。
そう思ったらいられない、好奇心旺盛な性格。
「先生、おなかが痛いので保健室いってきます!」
と先生に告げ、七瀬は走り出した。
はあ、はあっ
やっと着いた、丘の上。
いつも窓から見ていて低いな、とおもっていた丘は
思ったより高く、汗をかかずには登れなかった。
そのかわり。
例の音の源と、それを弾いている男の人を見つけた。
音の主を見て、七瀬はピンときた。
前音楽の教科書でみた、ハープという楽器だ。
男の人が持っていたのは、
吹奏楽部の人が弾いてたのと違い、小形なハープだった。
確か、ケルティック・ハープと言ったはずだ。
そして、その音色。
どこか寂しげな感じがする弾き方で、何かの曲の伴奏のようだった。
七瀬は初めから聴きたいと思い、その男の人に声をかけた。
「すみませんっ」
その声を聞いて振り返った顔は、男の人ではなくて、男子というような感じで....
同い年くらいだと思った。
「何?」
だが、声には温もりがなく、顔は生きてる感じがしないほど真っ青で眼は虚ろだった。
心が死んでいると言えそうだった。
この人に何があったかは解らない。
けど、つらいことがあったのは確かだと悟った。
「あの、この曲はなんですか?」
びくびくしながら七瀬は聞いた。
きっと優しい人だろうけど、今は怖かった。