金色のひまわり。
そして、人づてに彼が末期がんに冒されていたことを知ったときには、全てが、遅すぎた。
「芦屋センセも、ややこしい恋愛ばっかしてたらあかんで」
そんなことを聞きたかったんじゃない。
私も苑香も、あんたがいつ亡くなったすら知らないままなのは、どこまで遠慮したつもりなんだ。こんな小娘に、そんな無駄な遠慮してんじゃねぇって何度も言っただろうが。
三月初めの氷雨に咲いたひまわり。
私は今でもあの日のことを忘れない。
いつか、三人でまた一緒に酒でも呑もう。
叶わない約束でも、ないよりはマシだろう。