Transsexualism
日曜、指定された場所で、はるかは優を待っていた。
何をさせられるのだろう。まさか、誰にも言わない代わりに彼女にでもなれとか? 考え出すと不安が止まらなくなる。
結局、自分は永久に男にはなれないような気がした。
「お待たせ」
背後から声が聞こえて振り返った。そこで、はるかは自分の目を疑った。
そこに立っていたのは、一人の女性だった。化粧の整った彼女が、軽くウィンクをする。ドキッとした。
「松沢、優?」
やっとのことで、その名を口にした。
「そう。実は私も同類なのよ」
笑う彼女は、どこからどう見ても女性だった。
でも、すぐに納得が言った。同じだからこそ、自分のことを認めてくれたのだと。
「改めて、よろしく」
差し出された手を握って、はるかは笑った。最高の友人ができそうだった。
作品名:Transsexualism 作家名:日々夜