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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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大魔王ハルカ(旧)

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 二人がレビテーションで彼女に近づいたその姿はさながら獲物を狙う鷹のようであった。が狩は失敗に終わった。衝撃波がまた巻き起こったのだ。カーシャは乱気流によって地面に叩きつけられ重症、ルーファスは奇跡的にハルカの近くに不時着した。
 カーシャは声を出すのも精一杯なほどの重症で血反吐を吐きながら最後の力を振り絞ってこう叫んだ。
「ルーファス、マナを大地に逆流させろ!!」 
 ルーファスも着地したときに身体を強く打ちつけられ足をやられたらしく、地面に這いつくばりながらも手だけでハルカの足元までなんとか行ったのだが、ここでルーファスの口からとんでもない一言が、
「マナを逆流させるってどうやるの?(さっきはわかったとか言っちゃったけど、あはは)」
「…………(世界1のへっぽこ魔導士が!!)」
 カーシャはもう声を出す力すら残っていなかった。
「くそぉ、こうなったら一か八かだ!」
 ルーファスはハルカの足を掴むと、目を瞑り全神経を集中して、
「(ハルカのマナがガイアに逆流……ハルカのマナがガイアに逆流……)」
 とまるで呪いを架けるかのように心でなんどもなんども念じてみた。がしかし、マナの波動は治まることはなくハルカの身体が激しく輝き出し、衝撃波が…… 起こらなかった?
「治まったのか……?」
 いや、間があっただけだった。嫌な予感がしたルーファスはすぐさまカーシャに声をかけようとしたが間に合わない。爆風がルーファスを襲った。しかし、彼は見た、一瞬だったがあるものを見た、カーシャの方を振り向いたとき見た、何を見た? カーシャがいるはずの場所には彼女の変わりに『うさぎの人形』があった。ルーファスは吹き飛ばされながら大声で思わず叫んだ。
「なんじゃこりゃー!! byジーパン」

 そして、全てが終わった。ルーファスが気づいたときには、彼は自宅のソファーで寝ていた(ちなみにハルカがこの世界に来て以来彼はここで寝ている)。
「う、ううん(どこだ……ここは)」
「こんばんわ、ルーファス」
 ルーファスの耳に届いた声はカーシャのものだった。
「カーシャ!?」
 ルーファスは思わずびしっとしゃきっと立ち上がった。
「ここは、へっぽこの家だ」
「はっ? 私の家? ……あの後どうなった?(いや、むしろ私はあの『うさぎ』の方が気になるが)」
「あの後か? ……あの後、ハルカは結局マナを大暴走させマナをほどよく消費させ、ばたんと気を失ったが、今じゃもう」
「ルーファス、おはよう」
 ハルカが笑顔でルーファスを見ている。
「よかった、無事だったか」
 ルーファスは深くため息を付き、ソファーにバタンと倒れこんだ。
 突然カーシャの顔が渋い表情になった。
「どうしたのカーシャ?」
「実はな……マナの暴走で出た損害が予想を遥に越えたもので……私の店から半径1kmが消し飛んだ。まぁ、けが人は多数出たが、奇跡的に死人は出てない(……これは笑えない……ふふ)」
「「はっ!?」」
 これを聞いた二人は同時にびくっり仰天してしまった。そんことなどお構いなしにカーシャが話を続ける。
「というわけでだ。誰がこんなことを起こしたかを国をあげて探している、すなわちバレるとマズイので今日の出来事は3人だけの秘密にしよう」
「秘密にしようってカーシャのせいだろ!」
「まぁ、そうだが、今回のことで一つ大きな成果があった。それはハルカが元の世界に帰る方法だ」
 その言葉にハルカが身を乗り出してきた。
「えっ、どういう方法ですか?」
「あのマナの潜在能力はすばらしいものだ、あのチカラを使えば世界征服も夢ではない(大魔王ハルカ……ふふ)」
「はっ?」
 ハルカの動きが思わず止まってしまった。
「それでは、私は店の再建のため帰らせてもらう。さらばだへっぽこ、そして大魔王ハルカ」
 カーシャはそんな感じで言いたいことだけ言って勝手に帰ってしまった。
「よかったねハルカ、大魔王になれるってさ(大魔王ハルカ……結構いいかも)」
「私、大魔王なんかじゃない」
 ハルカは怒りながらドシドシと足音を立て自分の部屋(元ル―ファスの部屋)に閉じこもって鍵を掛けてしまった。
「(何か悪いこと言ったかな?)」
 これ以降丸2日間、ハルカはルーファスと口を利いてくれなかったという。だがへっぽこなルーファスにはいつまで経ってもその理由は不明なままだったらしい……。

 はたして、この先ハルカはどうなるのだろうか、元いた世界には無事帰ることができるのだろうか?
 いや、むしろ今はそんなことよりも『うさぎ』とか何であのときルーファスは耳と目を塞いで息を止めていたのだろうか……そっちの方が気になる?
 そんな疑問を残しながらこの物語はまだまだ続くのであったりする……。