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山車山 そぞり
山車山 そぞり
novelistID. 9692
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宿酔

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【患いの虜囚】

そこは極めて急な坂道で
とても立ってはいられないのです。
早くもくすんだビー玉が
脱兎の如く転がって
息も切れ切れ
一番下まで行きました。

あの白い列車に乗っていけば
平らな道まで一っ飛び
そう言ったのは誰かしら。
長いトンネルくぐっても
目が見えないから出られない。

錆びてる蜂が飛んでいます。
もう何日も飛んでいます。

砂糖水で舌を濡らして
今日も聞こえる雨の音。
トンネルが無くなるらしい。
今わかるのはこれだけです。

ここは極めて急な坂道で
とても立ってはいられない。
ホントは支えがあったのだけど
ひょいと見捨てて降りちゃった。
今はもう一人だものなぁ。
独りだものなぁ。

作品名:宿酔 作家名:山車山 そぞり