宿酔
【患いの虜囚】
そこは極めて急な坂道で
とても立ってはいられないのです。
早くもくすんだビー玉が
脱兎の如く転がって
息も切れ切れ
一番下まで行きました。
あの白い列車に乗っていけば
平らな道まで一っ飛び
そう言ったのは誰かしら。
長いトンネルくぐっても
目が見えないから出られない。
錆びてる蜂が飛んでいます。
もう何日も飛んでいます。
砂糖水で舌を濡らして
今日も聞こえる雨の音。
トンネルが無くなるらしい。
今わかるのはこれだけです。
ここは極めて急な坂道で
とても立ってはいられない。
ホントは支えがあったのだけど
ひょいと見捨てて降りちゃった。
今はもう一人だものなぁ。
独りだものなぁ。