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山車山 そぞり
山車山 そぞり
novelistID. 9692
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宿酔

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【葬送】

おしろいを水に溶かしたような物憂げな女が
灰色の小船に乗って
やはりそのべたついた眼差しで
川の様子を見ていたのだった

僕はそのときネクタイをしていたように思う

手には鈴蘭を持っており
友人にそれを笑われ
自分でも似合わないことをしたと後悔する

僕はそのとき背広を着ていたように思う

口紅を舐めたようないやらしさが
あの穴の中で燃え上がり
溜まった熱は耐え切れず噴出した

僕はそのとき前髪をあげていたように思う

おしろいを水に溶かしたような物憂げな女が
遂に灰色の櫂を持ち
やはりそのべたついた眼差しで
僕をじっと見ていたのだった

僕はそのとき泣いていたように思う

作品名:宿酔 作家名:山車山 そぞり