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完全犯罪

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「二人が共犯であれば、何も恐れなくていい」
「……うまくいくかしら?」
 私は逃げるために必死であるために彼の口車にまんまとのってしまった。
「どちらかが裏切れば、互いに道ずれとなる。いいかい?僕たちは、完全犯罪をなしとげた。それと同じように、二人はつながっているんだよ」
「……一つ聞かせて」
「なんだい?」
「何故、駅の、そうあなたの本を私の目の前においたのは、あなたでしょ?」
 なんとなくだが、私は、自分と彼とのつながりについては作られたと思えてならない。私が彼をしるきっかけが、ああなのだ。
「うん。僕のことに興味をもってもらわないとね」
 つまりは、私の運命の出会いは全て計算されていたことだ。まんまと私は彼の計算にのったあげくの果てに道化を演じてしまった。
「私をどういう風に選んだの?」
「もし、一生涯の運命をともにする相手であれば、君がいいと思ったんだよ」
 彼の言葉に私は笑った。
 もしかしたらこれだって嘘かもしれない。嘘じゃないかもしれない。どちらかはわからないけれども、私と彼は既に互いに裏切ることは出来ない関係なのだ。いや、彼は私を裏切ることができるかもしれない(確立としては、そちらの方が高い)けど、もし、彼の言葉に嘘がないとしたら、私と彼は互いの秘密を守るために一生を過ごすことになるかもしれない。どちらかが死ぬまで。
「昼間のデートはいいね。どこにいこうか」
「遊園地とか、映画館より、山とか海がいいわ」
「気が合うね。僕もだ」
「一生一緒にいてね」
 お互いが裏切ってしまうまでは――どちらかがどちらかを殺してしまうまでは
「もちろんだよ」
作品名:完全犯罪 作家名:旋律