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えすぱーと一般people!

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「で、夜な夜な屋根から物音が聞こえたり、誰かの気配がするので困っている、と。そうですね波原さん」
「はい。夜になると怖くて部屋に一人でいられなくて。どうにかなりますか?」
「まあ、実際にやってみないとどうにも言えませんが、できるかぎりの努力はさせてもらいます」
 少女と話していた少年はニッコリと音が出そうなくらい完璧な営業スマイルをしてこういった。
「それが私の仕事ですから」

 高い空、白く棚引く雲。平和ボケしたかのような空気。
 校庭の端にあるテニスコートの方から、ポコーン、ポコーンと気の抜けるような音が、屋上まで聞こえてくる。
 見下ろす街は、いつもと変わらないような日常が送られているのだろう。
「あれ、もういっちゃったんや、彼女」
 背後で聞こえた声に振り返る少年。
 そこには、見慣れた悪友の顔があった。
 まったくこいつは、いつのまに……。
「なんや譜都、女子とこんなとこに二人きりで。告白でもされてたんか。クラスに言いふらすぞ、抜け駆け者め!」
 譜都と呼ばれた少年は、今までいたフェンス際から離れて、ベンチに座る。
「そんなわけないだろが石井。ただの仕事の依頼だよ。」
 少年に石井と呼ばれた生徒もその隣に座る。
「お前、まだそんなことやってたんかい!いい加減やめとけやー。いくら魔女っ子萌えだからってDVDboxは身を滅ぼすさかい」
「いちいち話をややこしくすんな!誰もDVDboxの話なんてしてねえ!」
「ふむ、そうか。だが、お前がやってる霊媒師ってのもそれくらい危険なことなんやで。」
「いんだよ。どうせ見せかけなんだから。ってかDVDboxって危険なのか?」
「そもそも、そんな漫画みたいな職業が成り立つとは思えんわな。この情報と粒子の現代において。胡散臭いにもほどがあるぞ。」
「おまえは漫画の読みすぎだ。俺のやってる霊媒師ってのは、いわば心理セラピニストみたいなもんだよ。疑心暗鬼でいろんなモノが見えてしまい、困っているお客様に心の安らぎを与えるのが仕事ってこと。」
「じゃあお前、本当に霊を払ってるわけじゃあないやん、詐欺やん、言いふらしたろかー。」
「ばか。俺の仕事なくなっちゃうだろ。それに相手は問題が解決できて、こっちは儲かる。一石二鳥。」
「そして祟られるのでした」
「冗談言え。それこそ非現実的だよ」
 首をベンチに預けて空を見る。高い空は青かった。
作品名:えすぱーと一般people! 作家名:yoshi